夫には見せないもう1人の私…

転勤族の夫と結婚して一緒に暮らし始めて二年、理恵子は週に三回ほど短時間のパートに出る以外は気楽に家のことをする半分専業主婦のような今の立場を心地よく思っていた。

夫の転勤で慣れない土地で暮らすストレス、短期間でまた転勤の可能性があるため職場も限られるという状況も手伝い落ち着いた今のライフスタイルは全く不満がないと言えば嘘になるものの負担は軽く、自由に使えるパート代も多少は確保でき案外理想的とも言えた。

(夫は優しいし転勤がある分お給料も良い方だし…いつかは子供もほしいけどもうしばらくは二人でのんびりしたい…かな)

特に不満なんてない、そうは思いながらも一つだけ満たされないことがあった。

優しく愛情深いけれど多忙な夫の帰宅は真夜中になることも多く今夜は出張だ、週末は接待だと外で過ごす夜も少なくない。

自然と夫にそういったことを期待しないようになっていた。

「もしもし俊介?私…うん、今入った所…ええ…」

今移動中だからあと二十分位で着く、と言う俊介の声に「わかった」と返すと電話を切り、電話の履歴を手早く消した。

それから軽くシャワーを浴びて、バスローブを羽織る。

「…ふう…」

時間をずらして別々にラブホテルに入るのも、履歴を残さないのも、どちらが言い出すでもなく自然にできた暗黙のルールのようなものだ。

大人同士の秘密の恋愛だもの。

この後ろめたさにさえ興奮するのだから快楽というのはなんて罪深いのでしょう。

…危険な遊びに手を出したのは半年ほど前からだった。

年々性への貪欲さを失う夫と比例して若い頃より成熟し性の喜びを知った人妻の肉体はすぐに限界を迎え気がつけば体の欲求は外で満たすようになっていた。

ネット一つで既婚者でも近所の噂になること無く出会いを得られのだから便利な時代になったものである。

「男が夜のお店に行くのと同じ、ただの遊びだしちょっとした息抜きよ…」

もちろん最初は怖かった。

メールや電話でやり取りをしただけの相手と実際に会うというのは思った以上に緊張した。

乱暴されたらどうしよう、不潔な男が来たらどうしよう…

脅されたら?

金銭を要求されたら?

夫にバラされたら…?

しかし実際に会ってみると、そこには極めて普通の、どちらかと言えば理恵子好みのサラリーマンであった。

椎名俊介と名乗るその男は齢40前後の男盛りながら妻とはうまくいっていないという。

「妻とはもう会話も最低限という感じで…はは、情けない話です」

元から淡白な女だったけど出産を期に自分への関心が全くなくなったようで…

そうぽつりぽつりと言葉を選びながら話す彼は時折情けなさそうに白髪の交じる頭を掻いた。

その時の理恵子は真剣に耳を傾けながらよくある話だと思い、同時に都合がいいとも思った。

「女性とプライベートで会うのももう随分久しぶりですよ」

「私だってそうです…結婚してるから当たり前といえば当たり前なんですけど」

「それもそうですね、ははは」

二人が肉体関係を持つのにそう時間はかからなかった。

利害が一致したこと、家が近すぎず遠すぎずという状況も手伝いすぐに関係をもつようになった。

そうしてやってきた密会の時間は昼間ながらこの窓のない部屋はしっとりと薄暗い。

外の時間も喧騒けんそうも二人には関係ない。

いや、二人だけではない。

この施設を利用する多くの男女がべったり絡みつく現実から足を引き抜き非日常に酔いしれることを望んでいる。

赤い口紅を塗り直すと、理恵子は夫の前では決して身につけない大胆に透けたレースの前開きショーツに足を通す。

夫はこういうはしたない衣装は好まないけれど彼は興奮するみたい。

それからショーツとお揃いのベビードール…こちらも着ている意味が無いほど思い切り透けた素材はいやらしく彼女の肌を彩り、胸の膨らみに合わせて縦に避けた割れ目がその尖った先端を露出させている。

大きな鏡の前で髪をかきあげながらポーズを取ってみると、その割れ目は左右に大きく引っ張られてより恥ずかしく露出する。

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