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きっとあなたが最後の人

私的、嬉しくない告白ランキング、第2位

『お試しでいいから付き合ってください』

その、「試す」はどっちにかかっているん?

っと、強めに突っかからずにはいられない。

どーせ、こっちが「ちょっとイイかもなぁ〜」なんて思った時には「お試しだよね?」ってすっとぼけて、都合のいい解釈を展開する気満々じゃん。

セフレが欲しいなら最初から言えよ、っていう……。

ちなみに1位は「付き合ってあげてもイイけど?」だ。

百年の恋も冷めるっつの。

で、本題。

私、水守夢香みずもりゆめかは後輩のたちばな雄司ゆうじを、それはそれは可愛がっていた。

大学のサークルで知り合った彼は、厳つい見た目に反して結構繊細なシャイボーイ。

視野が広くてマメな陽キャだから、露骨にモテるのに、彼女にめちゃくちゃ一途という……好感度エベレストな後輩だ。可愛くないわけがない。

だから。

「俺と、お試しからでいいんで、付き合ってくれませんか?」

卒業後、まさかの同じ就職先で、

腐れ縁となりつつあった雄司から……

爆弾のように、あの告白が投下されるなんて、思いもよらなかったんだ。

「お試し……」

「いや、あの、先輩、別れたばっかじゃないっスか」

「雄司って傷口に塩塗るタイプだっけ?」

「サーセン! ……先輩にその気がなくても、1分1秒フリーな時間を作りたくないって言いますか、次の彼氏候補予約したいな〜っ的な!?」

「えぇ〜……ノリ軽ぅ」

「いやいやいやいやマジっすよ! 俺、どっちかっていうと愛が重たいタイプって先輩が言ったんじゃないっスか!」

「元カノちゃんに向けていた重たい愛を、私にも向けてくれるかわからんし」

「めちゃくちゃ向けます! 先輩が許してくれるなら全力でヤンデレます!」

「ヤンデレるってなに」

ぐいっと氷が溶けまくったハイボールをあおる。

そういえば、今日はお互いピッチが早いな……。

雄司、耳が赤いし。

酒に弱い男じゃないから、一端に照れているのか。可愛いやつめ。

ふっと、大学時代の、犬みたいな雄司を思い出す。

 

雄司は彼女のために料理のレパートリーを増やせる男だ。

インスタを駆使してクリスマスプレゼントをリサーチするマメさも、飲み会や友人とのショッピングに電話一本で駆けつけるフットワークもある。

我々、雄司を可愛がる歳上の女からすると、雄司に「忠犬かよ!」そして彼女に「お姫様かよ!」というツッコミを抱かずにはいられない。

誠に遺憾なことに、一途に、熱心に、彼女に向き合っていた雄司は、相手の浮気が原因でフラれた。

多分、1年くらい前だったかな。

あの女。

雄司の元カノ。

他人事ながら一発入れてやりたいと思うくらい、バカな女だと思う。

一方で。

半月くらい前に、私も恋人と破局した。

原因は「相手の浮気」。

揃いも揃って「バカの一つ覚えかよ」って感じ。
………

………

………

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