新潟から上京して、社会人2年目を迎える美羽。
最近はすっかり、都会生活にも慣れてきて自分なりにこの生活を充実していると思っている。
今朝は、ついうっかり二度寝してしまい、朝食も食べずに家を飛び出すはめになったのは昨夜のつまらない夜更かしのせいだろう。
ドタバタと人込みをかき分けて発車直前の電車に駆け込み、
美羽は人で一杯になった狭い車内へその小さな体を押し込ませた。
人1人分程度の僅かに開いていたスペースになんとか身体を落ち着け、
胸元へかかった長い髪を肩の向こうに流しながら携帯で時間を確認する。
(よかった…ギリギリ間に合うかな?)
四方をスーツ姿の会社員に囲まれ若干の息苦しさを感じながらシャツの襟を指先で整える。
まともに動けない、ともすれば押し潰されてしまいそうな状況も慣れたもので、
彼女は小さな身体を窮屈な隙間に委ねて、目的の駅までの時間をぼんやりやりすごすつもりであった。
しかし、Aラインのスカートの生地の上から、何やらお尻に違和感を感じ、彼女は面倒くさそうに身じろぐ。
手の甲で撫でられているような感覚と動きに嫌悪感を覚えたが、ここは揺れる満員電車の中だ。
………
………
………
たまたま当たっているだけかもしれないし、カバンかもしれないものを
「この人痴漢です!」
などと騒ぎ立てる気にもなれず、まぁ放っておけばおのずと離れていくだろうと楽観視していた。
そもそも犯罪者を容認するわけではないが、
この程度の痴漢なんてものは満員電車の中では日常茶飯事で、
電車通勤している女子ともなれば誰だって一度や二度経験しているものである。
もちろん、上京したての頃は、心臓が飛び出る程の恐怖で朝の満員電車を避けるために、
数本早い便に乗っていたりもしていた。
でももう慣れたもので、今更、という少々スレた思いもあった。
んー、良かったです。年の差系が好きな僕にはピッタリな作品でした。