「俺は全然悪くないと思うけどなあ、こういうのも」
直樹はそう言って菜摘に顔を向けた。
わたしが直樹を好きになったのは、夫と喧嘩をして、淋しくて、その時に、この、優しい顔を見て、それが理由なんだろうな…
「わたしには夫がいるしさ、もちろん今まではわたしも喜んで直樹と関係してたけど、でも、やっぱり違うと思うんだよねぇ…」
菜摘がそう言った時、彼女はもう直樹という男を憎々しい愚かな存在に思われた。
まるで冷蔵庫の下のゴミを食って生きているゴキブリのように思われた。
「別に結婚してるからっていいじゃねえかよ。なぁ、え?どうしたんだよ?いっつも俺と会う時は喜んでくれてたじゃない」
直樹は段々と身内に迫りくる苛立ちと焦りが彼の口調を荒々しくさせた。
彼は俯いている菜摘の肩に手を回して、腰をすり寄せて頬にキスをした。
菜摘は今度はイヤイヤな表情を作った顔を背けて、暗に自分の直樹に対する冷めた気持ちを表現した。
直樹は少しイラッとした。
そしてムキになって、菜摘の顔を強引に自分の方に引っ張ってキスをした。
菜摘は離れようと顔を振って、手で彼の体を押したり叩いたりした。
しかし彼は強かった。
菜摘より一回りも大きくって、それに仕事内容がバリバリの力仕事で、四年前から専業主婦をしていた彼女には到底敵う相手ではなかった。
直樹は菜摘を押し倒して、上から抑え込み、舌を無理矢理入れ込んだ。
「んんんん?っ、んんっ、んんっ、んぁっ、んんん」
菜摘の口には直樹の舌が縦横無尽に暴れていた。
この舌を噛み千切ったら、ここから逃げられるかしら…
そう思って、しかし怖くてそんなことは出来なかった。
とにかく手や足をバタバタと動かして何とか抵抗しようとしたが、全然駄目だった。
直樹は口を離すと、菜摘の両手を掴み、辺りを見回した。
彼はこの両手を縛り付ける布か何かを探していたのだ。
しかし何もなかったので、両手をその片方の大きな手のひらで掴みながら、菜摘のTシャツを上まで捲り上げて、それを器用に剥ぎ取った。
そしてその白のTシャツを細く捩り、菜摘の両手をキツく縛った。
それでも一応腕は動くのだが、その程度では直樹の体をどかすことは出来ない。
「止めてよ!止めて!離して!イヤだ!イヤ!外してよ!ちょっと、触らないで!!」
ブラジャー越しに大きく膨らんだ乳房を掴まれて、手の中で揺らされながら揉まれる。
「そんなに大きな声出すなよ。いやぁ、それにしたってお前の体はホントウにいい体してるよな。お前の間抜けのインポ野郎には贅沢過ぎるよ」
直樹はブラジャーを捲って乳首を外に出すと、それを口に加えてまるで赤ちゃんのように本気で吸い始めた。
「止めて!痛いから!痛いから止めて!んっ、あああんっ、ん、止めて…痛いから…んん」
直樹は上手く舌を使って直ぐに菜摘の乳首をビンビンに勃たせた。
駄目よわたし…!こんなのに感じてたら、駄目じゃない!けど、んんん…
気持ちいい訳が無い、気持ちいい訳が無い、そう何度も繰り返して自分に言い聞かせたが、体は正直だった。
菜摘は乳首を弄られるのが好きだった。
元々自分の乳首を弄る、もしくは弄られるのが性癖だった。
そしてこの感じてはいけない緊張した状況が、菜摘の官能を更にくすぐり、何とも言えない快感が彼女を襲った。
菜摘はこれまでも何度か自分がマゾなのではと思っていたが、直樹に襲われている今、それをほぼ確信した。
わたしが彼と不倫していたのも、きっとこのマゾのせいだろう…