「なるほど…それでこの時間にひとりで外出しようと…」
「子供じみてるのはわかる。けどなんだかやるせなくって………」
わかってる。
ただのすねだ。
すねているだけなんだ。
「けど、やるせないのはわかります。けど俺はきっと好きだったら許さない」
「うん……」
「本当に旦那さんを好きですか?」
予想外な返答。
「え、あ…うん」
「本当ならすがりませんか?俺なら見向いてもらえるようにするな」
「…………」
あたしは何も言えなくなる。
「本気でまだ愛してるか、試しますか?」
「へ??」
「俺としてみませんか?旦那さんが他の女とやってんなら俺らもやってみませんか?」
何を言うかこの祥太くんは!!
けど…………どこかでいいかもと思うあたしがいた。
「どう…ですか?」
暗がりの中、あたしはこくんと頷いた。
すると祥太くんは少しだけにやりと笑った気がする。
ゆっくりと大きな胸板であたしは抱きしめられた。
首筋に祥太くんは顎を這わせる。
くすぐったくて、笑ってしまった。
「緊張感、出してあげる」
見えないままそう宣言。
そのあとすぐに首筋を祥太くんの舌で舐められた。
「っ!」
予想外なところの刺激で思わず身体をひねらせた。
髪の毛の毛元から、徐々に背骨へ這う祥太くんの舌は、
少しだけ猫舌みたいにざらついている。
その舌でベロっと舐められると声が出てしまうのはしかたがないものだ。
微妙なところをから攻められたあたしの身体は、
すでに熱くなっていた。
というか抱きしめられたことすら久々すぎだ。
「身体がこわばってますよ」
「……まじか」
「まじ。こんなハグも久々?」
「うん」
「可愛そうに。旦那さんは気づかないんだ。りみさんがこんなにも魅力的だって」
そう言われるとなんだか恥ずかしいような、うれしいような。
男性との接触は本当に久しい。
「心臓の音がめっちゃ聞こえる。なんか新鮮だなー」
エレベーター内にあった、頼りのスマートフォンライトは消えた。
その瞬間に緊張が走った。