わかっていても止められない禁断の欲求
1時間に渡って行われた花火大会が午後9時に終わって観客はその余韻に浸っていた。
私は花火もよかったが、タクちゃんに体をピタッと寄せてドキドキしっぱなし。
この胸のときめく感じはなんだろう。はっ!そういやさっき花火の音に驚いてタクちゃんの胸にしがみついた時、何か心のスイッチが入った気がした。
今までに感じたことのないドキドキ感の余韻に私は浸っていた。
気がつけば終わってから10分ほど、たくましい彼の腕にしがみつきながら、肩に軽く頬を寄せて、頬から伝わる彼の温もりにしばらく浸っていたようだ。
「いやー、やっぱ花火はいいよな。まさかこんなに楽しいとは。今日はホント幸恵と一緒に来てよかったよ」
「そうだね。私もタクちゃんと見に来れて、久しぶりに楽しい気分になれたわ」
彼が嬉しそうに言った言葉に、私も嬉しくなって返事をした。
「また来年も来れたらいいけどな」
「うん。でも、来年のことだからまだどうなるかわからないわ」
正直来年は就活でもっと忙しいだろうし、きっと当分また帰ってこれないだろう。
そんな話をしながら、私はまたタクちゃんの後ろに乗って自転車で帰ることにした。
帰りは時間を気にせずゆっくりと自転車をこいで進んでいたからなのか、風を切る音とかペダルをこぐ音も行きほど聞こえてこなかった。
あまりの静けさに2人きりでいると余計に緊張感が増し、心拍数も上がってくる。
すでに心のスイッチが入っていた私の両腕はつい力が入り、つかまっていたタクちゃんの腰をさらにギュッとキツく締めつけるようにしがみつく。
すると、締めつけている腕の手首あたりが、彼の股間に当たっているのに気づいた。
しかも、自転車の振動で小刻みに何度も股間を当たってしまう。
それに興奮した私は、ドサクサに紛れて少し強めにグイグイ腕を押しつけてみたのだ。
そのたびに、タクちゃんは、
「うぐうぐ・・・」
とうめき声のような声を何度も上げていた。
そして、彼の股間を刺激続けていると次第に股間が膨らんできているのがわかったが、私にはそれがとても愛しく思えてきたのだ。
私はもう歯止めが効かなくなっていた。
まるで決壊したダムのように、タクちゃんへの思いがとめどなくあふれ出してくる。
あぁ・・・このままタクちゃんに抱かれたい・・・
そんな妄想をしていると、いつの間にか家に到着するところだった。
自転車から降りると私はいきなりタクちゃんを抱きしめた。
抱きしめてきた時、私のお腹に彼の股間があたり、さっきよりかなり膨らんで硬くなっているのがはっきりとわかった。
「ダメだよ、幸恵ちゃん。実は、俺には将来結婚しようかという女性がいるんだ。ただまだ彼女には結婚したいという気持ちは伝えてないけどね」
股間の様子とは裏腹に、タクちゃんは私にそう打ち明けた。
まさかそんないい女性がいるなんて思わなかったので、かなりショックだった。
それでも、私の気持ちはもう止められないところまできていた。
よく考えてみると、彼女らしい人はいても、まだその女性にはプロポーズしていない。
私にもまだチャンスがあるではないか、そう思うと俄然燃えてきた。
そうだ、このままタクちゃんを奪っちゃえばいいんだ、まだチャンスはある。
禁断の欲求であることはわかってはいたが、わかっていても止められない。
「ずっとタクちゃんのことが好きで好きでたまらなかったんだ・・・」
彼はとても驚いた顔で私を見つめていた。
「彼女がいたっていい。今夜は私を抱いてほしいの」
そう告白した私の手を取り、タクちゃんは黙ったまま私を隣の自宅まで連れて行き、そのまま2階の彼の部屋に入った。