なんであたしから離れたかは知ってる。
るるちゃんに出逢わないように。
るるちゃんとあたしを鉢合わせしないようにだ。
そこであたしは迷っていた。
…………
…………
…………
時刻は夜の21時50分。
あたしはまだ迷っていた。
リビングに母親と二人でテレビを見ている。
でも、内容なんか入ってこない。
「最近さー」
母親が口を開いた。
「流星くん見ないね」
「!!」
知ってるのか、知らないのか。
いや知らないはずだけど、なんでこのタイミングで……
「別に、流星なら知らん」
言って後悔。
「代わりに健人くんが来てくれる。いてくれる」
「仲いいもんね」
「……でもね、本心から一緒にいたいと思える相手を見つけなさい。」
「え?」
「アンタが何を捨ててもいいって思える相手よ?無理なマネキンはマネキンに失礼だわ」
「かあさ…………」
「さーて。私はアンタが寝るということで久々に出かけてこようかなー」
知ってるんだ。
今日、あたしが流星と会うか会わないかという話を知ってる。
だから自宅は空けるという意味だ。
「難しいことじゃないけど難しい心の声だけど、しっかり相手を見なさい。じゃ。わかったら部屋で寝なさい」
相手を見る。
うん。
「わかった!お休み!!気を付けていってらっしゃい!!」
「はいはい」
あたしは駆け足で部屋に向かった。
電気をつけて、窓から見える流星の部屋を見た。
もうすでに流星はいて、スマホに集中している。
「流星」
あたしは窓を開く。
気付かない流星に電話をすると、こちらにやっと気づいた。
「おいで、流星」
それだけ声で送って、通話を切った。