「
「セ?どうしたの?
「セ…セックス!」
「…!?」
思い切りお茶を吹き出しそうになるのを堪えてなんとか飲み込む。
彼氏の弟は声変わりもまだ始まっていない可愛い顔立ちの男の子。
彼氏、
「今…なんて…」
「…セックスってしたこと、ある?」
やはり聞き間違いではなかった、と頭を抱える。
「なんでそんなこと訊くの?」
学校で保健体育の授業でもあったのかしら?
それともお友達に何か吹きこまれたのだろうか…
「兄ちゃんが言ってて…」
よくよく話を聞いてみたところ、少し前に彼氏が弟と喧嘩した際に “セックスのセの字も知らないくせに” と言うような事を言ったそうで、それ以来 気になっていたそうだ。
健治のバカっぷりに呆れてモノも言えない私に、春斗くんは追い打ちを掛ける。
「僕もしたい…」
整った顔立ちの彼氏によく似ている春斗くんはとても可愛い顔をしている。
すべすべの肌にバランスの良い鼻、それに黒目がちな大きな瞳…そんな目で見られたら、思わず手を出してしまいそうになる。しかし…
「あのね、春斗くん…それは大人になって好きな人が出来てからすることなんだよ」
バカな彼氏の妙な入れ知恵を恨みつつ、引きつった顔で “大人” らしく
「僕、静香お姉ちゃんが好きだよ!」
純粋な笑顔を向ける春斗くんの
「あ、ありがとう…でも、ね」
「僕のほうが兄ちゃんより静香お姉ちゃんの事好きだよ!」
まっすぐな瞳でそう言われ少し心が揺らぎかけたその時、春斗くんの顔が目の間に近づいてきた。