それは幼い頃の遠い記憶だった。
いつものように友達と3人で遊んでいた。
お決まりの遊び場があり、それはさくら公園。
近くに住む子供たちはこぞってここにくる。
あたし、水谷芽衣(みずたにめい)も例外ではなかった。
そしてお決まりの遊び場にはお決まりの遊ぶ人がいる。
それは龍也(りゅうや)と雅樹(まさき)。
龍也とは親ぐるみで仲が良くて一緒に過ごす時間が多い。
雅樹は龍也の親友らしく、学校でもいつも一緒にいる。
なんだかそんな仲が良いことにヤキモチを妬くのはあたしだ。
そんな中、あたしはお父さんの出張のために海外にいくこととなる。
哀しかった。
寂しかった。
けどそんなこと言ったらお父さんたちが悲しむ。
それはいやだから、聞き分けのいい子になるんだ。
あたしはそれを決行すべきだと判断する。
「また……会いたいね。芽衣」
「ありがとう龍也。この12年間、楽しかったのは龍也のおかげだよ」
「いいって。……つかもう出発時間になるのに、雅樹は何やってんだか」
「いいよいいよ。アイツだってあたしにヤキモチ妬いてたし、せいせいするんじゃない?」
「ははっ。馬鹿だなー芽衣は。」
「なんでよ」
「今度会ったら教えてあげるよ」
にっこりと人を落ち着かせる笑顔をもつ龍也に癒される頃に時間はきた。
「もうそろそろいくよ。芽衣」
「はい。お母さん」
―なんで
どこかでそんな気持ちが走る。
―なんで雅樹は来ないの?もう会えないのに。
その気持ちを抱えたまま、あたしは家族で海外へ向かった。