「ねぇ、
「どうした?」
私は恥ずかしくなって、頭が真っ白になってしまった。
しかし勇気を奮い起こして、
「ここを舐めて欲しい」
と言った。
彼は少しの間ポカンとしていた。
「ここって、何処?」
私は両脚を広げて指を差した。
私は直ぐに舐めてもらえると思って、じっと彼を待った。
「嫌だよ。そこ臭いんだもん」
彼はこう言って、コンドームを丁寧に装着した。
それからどういう体位でしてどれ位の時間が経ったのか、全くわからない。
私の頭は完全に馬鹿になってしまったようだった。
そんな事先輩には一度も言われた事が無かった。
それに言われなかったからと言って、アソコの掃除を怠っていた訳ではなく、
彼にそう言われるまで自分のアソコは人並みに、もしくはそれ以上に清潔だという自負があった。
だから私は彼から臭いと言われて、その瞬間、頭を雷で打たれたような衝撃を覚えて、ぼんやりしてしまったのだ。
私は彼の隣で彼の寝息を聞きながら、静かに泣いた。
私の頭の中では眉間にシワを寄せた彼の醜い顔がじっとこちらを見ていた。
………
………
そんな事があってから一週間程したある日の午後だった。
私は午前の講義を終えて彼と一緒に昼ごはんを食べた後、彼の午後の講義の終わるのを待つ為に図書館で本を読んでいた。
不図、隣に誰かが座って来た。
私は誰だと思ってその方を向くと、同じバイト先の後輩だった。
「あ、
「お疲れっす」
私は本を置いて、後輩と昨日店長が頭のおかしい客と口論していた話を小声でした。
後輩は丁度昨日休みだった。
「へぇー、そのお客さんもですけど店長も結構すごいっすね」
「うん、私の面接の時もすごい変だったよ、急に演説みたいに日本の少子高齢化とか話し出してね」
「俺の時もそうでしたよ」
私と後輩は大きな声で笑った。
静かな図書館に私と後輩の笑い声はひどく目立った。
私と後輩は一緒に顔を赤らめた。
………
………
私は尿意を感じて立ち上がった。
すると後輩も立ち上がった。
「俺もトイレ行きます」
トイレは図書館の入口の近くにあった。
女子トイレは手前にあって、私はそこへ入ろうとした、その時、急に腕を掴まれて、男子トイレへ連れ込まれた。
「ちょっと何!」
私は個室トイレの中へすんなりと入れられて、鍵を締められた。
そして後ろから抱きつかれて、その大きな手で口を塞がれた。
私は抵抗しようとしたが、全く敵わなかった。
(そう言えば亮太君は高校まで柔道をやっていたんだっけ?)
私は後輩には全く無力な存在である事を自覚して、力を緩めた。