タイトスカートの上から、尻の谷間をなぞるようにして動くそれは、もう偶然とは言えない動きをしている。
「は、ん……」
望んでいた刺激に、マリコは両手でつり革をつかみ、腰をゆっくりと揺らした。
足の間に当たるそれが、マリコの割れ目を上下に撫でる。
硬くてゆるく尖ったそれが、既に硬くなったクリトリスに当たる。
がたん、がたん、と電車が揺れ、それがそのまま振動になってクリトリスを震わせた。
腰を小さく揺らしながら、マリコはじわじわと上がってくる快感に息を荒くする。
(電車の中で、わたし、こんな――)
………
………
周りの人は、きっと誰もマリコのことなんて気にしていない。
スマホを見たり、イヤホンで音楽を聞いたりして、周りの人間を意識しないようにしている。
それが満員電車をやり過ごす術であることを、マリコ自身もしっていた。
「は、は……っ」
ソレは、マリコの足の間に力強く押し当てられる。
今までより強くクリトリスを押し上げられて、マリコはたまらずソレを足でぎゅっと挟んだ。
やはりカバンの角だったようで、太ももに書類バッグのようなものが挟まる感触がする。
すると、マリコがカバンを固定したからか、それはゆさゆさと細かく揺れながらマリコの足の間を刺激し始めた。
今まではマリコが自分でソレに気持ちのいい場所を擦りつけていただけだったが、突然の動きに快感がどっと押し寄せてくる。
ぐっぐっと角をクリトリスに押し付けられて、マリコはたまらず腰をくねらせた。
足の間が熱い。トロトロと愛液があふれているのが、自分でもわかった。
下着が足の間に張り付き、それがカバンの角の感触をより強く伝えてくる。
「は、あ、あっ……」
電車の揺れと、カバンの動き。
それから、到着駅をつげる車掌の声に紛れながら、マリコは熱い吐息をはいた。
絶頂はすぐ目の前だった。
(あ、やばい、やばいっ)
くっと押し上げられる度に、目の前が絶頂への予感で白く光る。
腰が勝手に揺れ、きゅうう、と内壁が収縮した。
「まもなく、〇〇駅、まもなく――」
電車内に響く車掌の声と同時に、カバンがぐいっと押し上げられ――
マリコは息を詰めながら、満員電車の中でびくびくと身体を震わせた。
そのあとすぐに、電車は駅へと到着し
――電車を降りる人波に押し出されるようにして、マリコも電車を降りた。
絶頂したばかりの身体は少しふらふらして、
「はあ……」と一人で息をつく。
やってしまった
――冷静になった頭で、自分のしたことを思い出して叫びたくなる。
知らない人のカバンの角でオナニーして、満員電車の中でイッてしまったなんて……
「あ、やば……行かなきゃ」
それでも、朝の時間はどんどん過ぎていく。
マリコは顔を火照らせながらも、いつも通り、会社へと足を向けた。