恋のはじまり

ぬくもりと優しさ

笑顔を絶やさない楠木さんに興味がわいた。

こんな気持ち、久しぶりなんだけど。

歩いている中でかなり話をした。

楠木さんは32歳という、あたしよりも5個上だ。

今は営業の仕事をしているらしい。

話題は楠木さんが提供してくれる。

不思議とそれはいやじゃない。

楽しい時間はあっという間にあった。

帰ろうと外に出ると大雨だった。

 

「どうしよう。傘…」

「とりあえずコンビニに入って傘を買おう。さ、いくよ」

そう言って楠木さんはあたしに手を差し伸べてくれた。

あたしはその手に応じてつないで走った。

コンビニに着くと、上着を脱いだ楠木さん。

そして濡れていない中のジャケットをあたしにくれた。

理由を聞くと顔を真っ赤にする。

「いや…その…ブラジャーが…」

「!」

気付かなかった。

あたし濡れて透けていたのだった。

「ありがとうございます。ほんと、楠木さんて良い方なのですね」

「…そうでもないよ」

「え?」

 

グイっと楠木さんは自分の方にあたしを引き寄せた。

右手であたしの左ほほに触れる。

思わずドキッとしてしまった。

だって今日一番に優しくてかっこいい人ではなく、“男の人”を感じさせられたから。

さら、とあたしの髪の毛にも触れる。

それから噛みつくようなキスをくれた。

楠木さんがどんどん欲情してくれているのを、キスで感じ取る。

舌をくちゅくちゅと唾液交換をしながら口内を犯された。

口の端からあたしは息をもらすと、余計興奮する楠木さん。

「っは…佐倉ちゃん、ごめん…」

「は、ぁ、いいえ…」

「はは。店員さんにガン見されたね」

「楠木さん…」

「…これ以上俺を見ないで。俺だって男だからさ」

「今夜、一緒にいてください…」

あたしは精一杯の誘いをしてしまう。

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