恋のはじまり

幼馴染の束縛

朝は憂鬱ゆううつでしかたがない。

なんだってこんな朝早くに起きてご飯食べて、一日かけて好きでもない勉強をして、帰ったらあとは寝るだけの生活をしなければならないのか。

朝早く起きるならもっと別な趣味に時間をかけたいし、ご飯だって食べたいときに食べたい。

こんな‥‥まるで囚人みたいな生活を余儀なくされなきゃならないんだよ。

あたしはそんな不満を世の中に、この近所に向けて発信している。

誰もこんなあたしの独り言なんか聞いちゃいないけど言いたくもなるよ。

今は華の10代なんだから、もっと自由をちょうだい。

と、あたしは語りに語り掛けて言ってみる。

まぁ、文句があって通したいならこんな田舎じゃなくて都会に行ってからいえってな。

 

「おーい。めぐ、何やってんだ?」

コレはあたしの幼馴染の航大(こうだい)。小中高一緒なんだよね。

「‥‥なにも」

「まただんまりかー」

めちゃくちゃ語ったけど、実はあまり言葉を発しないキャラなんだ。

それでもこうやって、仲が良い人は数人いる。

「あ、めぐ。お前の好きないちごあめだぞ」

「!」

「仕方ねーなー。おごってやるよ」

こう言っては航大はあたしに大好物のいちごあめを買ってくれる。

でも、この日は違った。
………

………
「あの、めぐさん」

「?」

あまり話したことがない男子で驚いた。

「僕はいちごあめを買えるようにします!だから付き合ってください!」

この時、航大は笑った。

「はははっ。なんだそりゃ。」

「航大さんは黙ってて。めぐさん、僕じゃだめですか」

「‥‥‥」

返答に困ったあたしを見ているみんな。

その中で隣のクラスの陽菜ひなが空気読めずに航大を呼んだんだ。

航大は相も変わらず笑って教室からでていった。
………

………

………
この時に気がいついたよ、あたし航大が好きなんだって。

だけど航大は気にしてなさそうだ。

腹が立った。

「悪いけど‥‥‥」

「LINE、しましょう」

「いやあの‥‥‥」

「せめてLINEだけはお願いします」

食いついてくるわんこ系男子だな。

そして聞こえてくる航大の笑い声。

カチンとあたしの頭はスイッチが入ってしまった。

「いいよ、LINEなら」

「ありがとう!交換しましょ」

「航大から聞いて」

ささやかな復讐のつもりだった、この時までは。

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