「っおぇぇ‥かはっ」
背中を撫でてくれる朝倉ちゃんは、慣れている手つきだ。
こんなことは過去数回あるので、覚えてくれたのだろう。
「先輩、お気に入りできました?」
「おぇ?」
「げぼしながら言わないでください(笑)お酒のピッチあがったときってそんなときなので。わかりましたよ」
「あたしってわかりやすいかな!!??」
「めちゃくちゃ。でも当の本人には無自覚みたいですね」
「誰かまでバレるとか‥‥‥」
「彼は
「相変わらずすごい情報網だね」
「ま、気が済むまで吐いたら戻ってきてくださいねー」
にまぁっと笑う朝倉ちゃん。なんか企んでる?
怖いな‥‥と思いつつも、真聡さんという名前を知れて少し浮かれた。
‥‥‥
‥‥‥
「なんで‥‥‥」
あたしはトイレから戻ると、酔いつぶれている真聡さんが眠っている。
しかも一人で。
「真聡くん?他の人たちは‥‥‥??」
「ん‥‥‥あれ?悠香さん?悠香さんが見えません」
テーブルの上にあったメガネを渡すと、かなりゆっくりとした動作で装着した。
「良く寝た」
「良く寝たって‥‥あの、朝倉ちゃんたちは?」
「あれ?どうしたんですかね」
「ちょっと電話‥‥‥」
あたしは慌てて朝倉ちゃんに電話をした。しかし出る気配はない。
しかたなく電話を切ると、LINEが朝倉ちゃんからあった。
<「悠香先輩!初めてな男性をゲットだぜ!!」>
………
………
は‥‥‥は‥‥‥初めて!!??ってことは童貞なの!?
ってかそこじゃなくて‥仕組んだな‥‥‥さらにLINEは続く。
<「合コン場所の近くにラブホあるので、そこおすすめですよ!」>
「一言多いんだわーーー‥‥‥」
「朝倉さんは何て‥‥‥」
「!?いや、なんでもないよ!!」
だけど‥‥あたしが男性と、とかいいのかな。
だってあたしは朝倉ちゃんみたいに巨乳でもなければ、その逆のちっぱいだし。
男性の記念すべき初体験をあたしなんかがもらっちゃっていいのかな。
他の誰かにLINEをする真聡さんを見て、あたしは怖くなった。
大事な初体験を、8つも年上のあたしがもらってもいいモノなのか。
そりゃぁ興味がないと言えばウソにはなる。
‥‥‥こうなったら、聞くしかない。
あたしは勇気を出すと決意して、思い切って切り出した。
………
………