それはこの密室での実質上の敗北宣言だった。
ところどころ破れた古いソファに押し倒される。
暗く薄汚い室内に彼女の肌蹴たシャツから覗く白い胸が浮かび上がった。
伊崎の手は何の
年の割には形に自信があった。
大きくてハリもあり、自分からみても悪くない密やかな自慢だったその胸は過酷な作業でささくれ立ち汚れきった手で乱暴に捕まれ卑猥に形を変えている。
………
………
………
「…うぐっ…うっ…」
痛い…!
夫との行為の時とは似ても似つかぬ、優しさや慈しみなどというものとはかけ離れたその所業はとても愛撫と呼べたものではない。
希美にとってそれはただ肉を揉んでいるだけ、といった様子に感じられたが、伊崎にとっては我を忘れるほどの興奮で、どれくらいぶりかもわからない生身の女の体は彼に長らく忘れていた真っ赤に燃えたぎるマグマのような欲望を思い出させた。
その欲望のままに伊崎は野蛮な手つきで胸の先端を探ってくる。
「あぁっ…やぁぁ…」
身を
痛いだけのそこから熱くしびれるような感覚が胸全体を駆け巡る。
「くっ…うぅ…」
女として盛りきった年頃、人妻の熟れた肉体が反応を示すのにさほど時間はかからなかった。
嫌なのに感じてしまう、不快なだけの刺激だというのに体の奥からじわりと火照り始める。
「なんだ、勃ってきてるじゃないですか」
刺激があれば反応する、ただの生理現象だがそれをあえて口に出されると今度は性的な羞恥心も加わりのぼせたような感覚に陥ってくる。
完全に勃起し赤くしこった乳首をつまんだまま引っ張られると恥ずかしさと快感に思わず鼻にかかった甘い息が漏れた。
「取り調べで性的に興奮するなんてよほど欲求不満なんですね」
ねっとりした目でじっと見つめられながら言われると嫌なはずのになぜか乳首がさらに硬く勃起してしまう。
恥ずかしくて情けなくて居た堪れない。顔を真っ赤に染めて希美は思わず涙ぐむ。
それを見逃すはずもなく伊崎は乳首を強く握り潰すように乳房ごと摘み上げながら、片方の手を足の間に滑り込ませる。
「あぁっ!だめ…」
駄目と言いながら期待している、そんな自分を希美は嫌悪混じりに認め始めていた。
優しい夫では考えられない乱暴な刺激は新鮮に感じられたし、なによりここまで強引に男性から己の女性としての肉体を求められているという事実は彼女の自尊心をくすぐった。
………
………
………
しかし…
………
………
………
「んぐ…ぐ…」
しかし痛みは痛みである。
ぬめりのない乾いた陰核を硬い指で擦られるちりちりとした痛みは我慢できる程度とは言え苦痛には変わりない。
希美は顔をしかめて歯を食いしばった。
「その苦しそうな顔もいやらしいね」
伊崎は希美のような本来なら手も届かない美人を支配できる事に性的な興奮を覚えていた。
「あぁっ、くう、ひぃい…」
女の体で最も敏感な部分をささくれだった指が
「知ってます?女性の万引き犯の多くは欲求不満からなんだそうですよ」
「奥さんはクリトリスが気持ちいいんですね?いやらしいなぁすぐ膨らんで勃起した」
「見てください、クリトリスが皮から顔を半分覗かせてますよ」
「少し濡れてきました?まんこの奥がテカテカしてません?」
伊崎のまるで実況のような発言の数々は希美の羞恥心をこれでもかと刺激し、今大きく足を開かされてまじまじと凝視されているそこへ強制的に意識を集中させてしまう。