優しくて人当たりがよく、全校生徒に人気の生徒会長の口からまさかこんな暴言を吐かれるなんて、と菜々子は目を丸くして真正面の男を見つめた。
彼はきちんと締めていたネクタイを外しその辺にポイと放ると首元や袖のボタンを乱暴に外し始めた。
「お前みたいなクズのせいで俺が無駄な仕事をさせられてんだよ!俺の言ってる事が理解できるか?お前の脳みそで!」
私はぽかんと間抜けに口を開けたままカク…と
いきなりキレた温厚な生徒会長のもう一つの顔に驚きを隠せない。
「お前一度でも生徒手帳に目を通したことあるか?校則に反する所持品は没収、これが規則だ」
そう言いながら会長は更に近づいて私の耳に手を伸ばす。
「これ、引きちぎったらお前どんな声出す?」
ニヤニヤ笑いながら聞いてくる会長に恐怖を感じたが、しっかりピアスを掴まれてしまって動けない。もし今少しでも抵抗したら耳たぶごとちぎられる。
「ひゃうっ!」
会長の顔が急に近づいてきて耳をベロリと舐めた。
耳の輪郭をなぞるように舌が滑り、耳の穴をほじり、それからピアスへとうつる。
背筋がゾクゾクして思わずまた声を漏らしそうになったが歯を食いしばってそれを堪えた。
「こい、ちゃんと外してやる」
乱暴に腕を捕まれてソファへ投げられる。
「や…やめてっ!」
「あ?お前がバカじゃなけりゃ何もしてねえよ」
そう言いながら会長はピアスを丁寧に外し、小さな透明の袋に入れた。