気が付いたのは、車が廃墟にたどり着いたときの砂利の音でだった。
がたっと揺れた反動であたしは目覚める。
「つーいた。さて恵お嬢様。出ますよ~」
「!んん!!!ん-!!」
「ははは。まったく効かないね。俺、アメフトにいたマッチョだから」
そうか‥‥‥どうりで。
かんたんにあたしを担ぎながら歩かれると、
硬く冷たい床に座らされた。
ようやく口だけ解放されたので、声を出そうとしたがむせてしまう。
「げほっ!」
「大丈夫ですかぁ?かわいい顔してさぁ」
「な‥‥‥誰なの‥‥‥?」
「ただの雇われ者ですよーー」
「助けて‥‥‥翔平‥‥‥」
「残念だけど、まだまだ帰れないよ?これからお楽しみだってあるんだから」
「やだ‥‥‥」
「俺はかえでって言うんだ。名前で呼んでよ」
「いやよ!」
「じゃないとこの画像を旦那に送るよ?」
そこには撮ってもいないような背景で、
首から下が裸の写真だった。
撮った覚えがない写真に食らいつく。
「なによその写真は!」
「俺の最高傑作品だよー。」
「明らかにあたしじゃないし!」
「なんで自分じゃないと言い切れるの?」
「だってここまでされた覚えがな―‥‥‥」
あたしは気づかされた。
そうだ、あたしがここまでされていないって言うことは、
この人とのつながりがあると言っていると同じだってことに。
「よくできました。じゃぁこれで俺と最後までセックスしても‥‥‥」
「するわけがない!!」
「まぁ聞け。これからのセックスは
反論しても、スポンジのようにこの人は吸収して何もなかったようにする。
どれほどのメンタルの持ち主なんだろうか。