第二章:なぜだろうか
あれから数日が経った。
健人は相変わらず女性社員と関係を持っていた。
けれども満たされない健人。
いつもなら気持ちよくて幸せに思えていたのに、なぜか今は違う。
そしてなによりもあかねが気がかりだ。
実はあの後、健人は権限を持ってあかねの履歴書などを見てしまった。
そこには家族はいないと書かれていた。
謎が謎を呼ぶ。
健人が残業になり席で一人苦悩していると、他の女性社員がやってきた。
「専務…抱いてください」
「ここで?いやー燃えるねー」
「お願いします」
「おいで」
想像して自分の竿は誇大する。
しかも彼女はものすごく美人でスタイルもよい、健人の恋人理想像だ。
鍵をかけて健人は夜の営みを開始する。
夢中になって興奮して、二人は息を切らしながらも行為をしている。
もちろん、挿入はしていない。
健人は彼女の首筋に食いついた。
その瞬間感じる。
ー…違う
と。
その瞬間だった。
閉めていた鍵が開いて、一番見られたくない彼女、あかねに見つかった。
「あ、古屋くー…」
ずかずか入ってくるなり女性は毒づく。
「ちょっと今いいところだったのになんなの!!」
「はいはい。ごゆっくり。私はただ書類を忘れただけですから」
「ふざけんなー」
部屋から出ていくあかねを、健人はなぜだか追おうとした。女性はその手首にしがみついて静止する。
「専務!?」
「悪いけど、ふざけんなは君のほうだから」
「え!?」
「さ、帰りなさい」
「あいつを追うの!?」
「俺は追わないよ。去る者追わずってね」
しょぼくれた自分の竿をしまって、健人は帰る支度をした。
ーなんで俺、眼鏡女を追おうとしたんだ?別に悪いことしてるんじゃないし…
自分でもよくわからない感情に頭を悩ませる健人だった。