「なぁ弓。お前さ、彼氏と最近はいつした?」
「へ?」
あたしは
高校から友達として一緒にいた男子、
「な、な、な、んで!!??」
「いやなんか昔はよく好きな奴の話したよなーって思い出してさ」
「それはわかるけどなんでアダルトな話をアンタにしなきゃないのよ」
「俺らの仲じゃん」
「…してないよ。だって彼氏すらいない。馬鹿にしてんの??」
「そういうことじゃないよ」
…昔からそうだ。
勇人は人の心にずかずか入ってきて、爪痕を残しては去っていく。
この部屋だってそう。
勇人の…男性の部屋に女性入ってきたらさ、それなりになるじゃん。
いや、あたしがいやらしいだけか!?
だってさ、あたし、今まで彼氏いたことないもん。
勇人には “仕事が忙しくてなかなか会えない年上と付き合っている” と言っていたから。
なんでかっていうと、あたしはもうずっと前から勇人が好きだから。
学生の頃からずっと。
今でも。
でもね、あたしの友達のミクも勇人が好きなの。
ミクに「勇人くんが好き?」と高校一年で聞かれたとき、正直に言えなかった。
それを引きずっている。
今、勇人はミクと付き合っている。
どうやら勇人はもともと好きだった人がいなくなってしまったから、付き合えると答えたそうだ。
寂しかったけど、ミクだしと思って目をつぶってた。
「そういう勇人はどうなのよ。ミクとは」
「んー…別れようかな」
「は!?」
「浮気してる」
「へ!!??」
まさか!?
あのミクが!!??
「なによ、ミクが浮気してるんなら振り向かせなきゃ!!何してんの!!!」
「ちげーよ」
「ちがうって…」
急に勇人はあたしに近づいてきて、手を握った。
触れられた個所から勇人の温かみを感じる。
「俺が浮気してるの。高校の時から」
そのまま頭にはてなを付けていると勇人はあたしにキスをした。