雄イルカは愛らしい外見とは裏腹に性欲がすさまじいらしい。
体のあらゆる部位を使ってセックスしたり、雌と見ると追いかけたり。
とにかく性欲に忠実だとか。
そして本当かは知らないけど、セックスの邪魔になるなら我が子ですら殺すとも。
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そして私、恵(めぐみ)の夫である大輝(たいき)は性欲がイルカ並みに旺盛。
イルカのような愛らしさとはほど遠く、
顔つきはカバと馬を足してイコールされたような顔だし、
体型はダックスフンドとダチョウを足したよう。
つまりブサイクでチビの短足で下半身太りな男。
何でこんな男と結婚したんだと言われたら、何でだろう?
社会人として出会った時は短足ブサイクチビでも、下半身太りじゃなかったし、仕事は一生懸命する人だと思ったんだ。
性格は穏やかだったし、私は元々イケメンは好きじゃない。
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私はそこそこ顔とスタイルには恵まれて生まれた。
でも変な奴に狙われるし、無駄に自信家のイケメンからは彼女のように扱われるし、同性からは嫌味を言われるし。
自分が容姿に恵まれて良かったと思ったことは1度もなかった。
ユっくんと出会うまでは。
ユっくんは私が高校生の時に出会った同級生。
彼は決してイケメンではなかったけど、優しくておもしろくて頭が良くて、皆から好かれていた。
ユっくんは、私の字を
「きれいで上手だね」
と褒めてくれた。
その一言で、私のユっくんへの想いは好意から恋情に変わった。
「それだけで?」
と思われそうだけど、今まで私の字を褒める人は何人かいた。
でも大体
「美人は字もきれいだなあ」
とか、美人関係ないじゃんって感じの褒め方で嬉しくなかった。
ユっくんとつき合ってた時は本当に楽しかった。
彼から
「恵は美人」
と言われるのは嬉しかった。
彼のために、いくらでもきれいになりたいと思った。
だけど幸せなんて続かないもんなんだね。
大学を卒業して就職して、ユっくんからプロポーズされて…。
そんな幸せの絶頂期に、ユっくんは自動車事故に巻き込まれて死んだ。
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ユっくんとの婚約を大喜びで祝福してくれた両親は、その後相次いで病死。
私は兄弟姉妹がいない一人っ子だから、独りぼっちになった。
親戚はいるけど、おじさん達は変な目で私を見るから嫌い。
何度も
そんな弱ってる時に大輝から声をかけられて、バカな私はフラフラと大輝の妻となった。