あたしの旦那は
もともとあたしがガンガン責めて言い寄って付き合い始めて、そのあとに結婚しました。
旦那には身体が非常に弱い女の子がいたのですが、翔太郎はあたしを選んでくれた。
結局は奪っちゃった感じです。
新婚生活も満足のいくものだった。
いつだって翔太郎はそばにいてくれたから楽しかった。
振り返って、「ね?」って聞いたら「うん」って答えてくれる。
絶対無二の存在でもあったんだ。
あの日までは。
「翔ちゃん」
幼馴染の女の子は、あたしと翔太郎とでは9個も年の差があった。
まだまだ子供に見えるのが罪だった。
「
「翔ちゃんお願い。死にたくないよ」
「またそういうこと‥‥‥」
「翔ちゃん、翔ちゃん」
彼女は最初からメンタルすら弱い子だった。
心身ともに病んでいたんだ。
あたしはその子とは会ったことがなかった。
だからこの日最初に見て驚いた。
………
………
だってあまりにもか弱くて華奢で、自分の損得で動いているような子でもないから。
「弓‥‥‥さん。翔太郎を迎えに来たんですか?」
「あ、はい。ごめんなさい‥‥‥翔ちゃんもごめんね急に」
あたしは思わず笑った。
盛大に、より大きく声を出して。
もちろん翔太郎は驚いてあたしを見た。
「あはは、ごめんね。笑っちゃった。だぁってか弱いんだもん。それしかなくって、こうやって来たんでしょ?」
「おいめい、何言って―‥‥‥」
「はいはいわかったわよ。弓さん、どうぞお好きに持って帰ってください。荷物は翔太郎の‥‥‥椎名さんの自宅に送りますから。」
「お前いい加減にしろ」
「はいはい。あ、椎名さんはここで住んでくださいね。あたしが出ていきますから。準備してきますねー」
………
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