「
「はい、着替えてきます」
会社の小さな一室で私はスカート丈の短いメイド服を手渡される。
区切られた更衣スペーススペースに体を隠すとそれまで着ていたウェイトレスの制服を脱ぎ黒いワンピースに体を通した。
うちの会社はウェブ上でアダルトグッズを売っている。
今や通信販売、特にこの業界は無くてはならないものになった。
買い手にとっては顔を見られたり他の客とばったり遭遇したりせずにアダルトグッズを購入出来るし、会社にとっても店舗をかまえないで済む分経費を押さえられる。
その分お安く売ってますよ。
ただ経費削減に情熱を燃やすうちの社長がケチ過ぎるせいで私が今こんな事になっているわけですが…
簡単に言うと商品写真の撮影を外部に頼まない為に社員がモデルとカメラマンにならざるを得ないんです。
顔は出ないしちょっとした手当も貰えるのですが、やはり露出の多い衣装を着て同期の男性に撮影されるというのは恥ずかしい。
モデル役の私と普段からカメラが趣味だという撮影役の
言わば一番の下っ端社員なのでこんな雑用も仕方ないと言われれば仕方ないのかもしれないけど…
「セット用意OKでーす!」
「はーい、今行きます」
衣装は山のようにあって、毎日仕事の後に撮影を続けても何ヶ月かかるかわからないほど。
現場ではナースキャップが廃止されたにも関わらず未だにキャップとセットで販売を続けているナース服、高校卒業以来数年ぶりに着るセーラー服、時代錯誤なブルマの体操服にスクール水着、婦警さん…
大胆に露出した太腿、見えそうになる下着、露わになる胸元…
そんな物を着てポーズを取る私を二人は食い入るように見つめてくる。
痛いほど突き刺さる視線にどこか興奮している自分がいました。
部屋に響くカメラのシャッター音とハァハァと荒い呼吸…
異常な雰囲気だったと思います。
「もう遅いし今日は次の衣装で最後にしよう」
そう言って山岡君は白い競泳水着を棚から取り出し私に手渡してきた。
「うわ…え、これ…本当に着るの?」
生地がとても薄くて向こう側が透けてしまってる。
着たらアンダーヘアもバストトップも丸見えで裸同然の恥ずかしい格好になるそのいやらしい衣装片手に戸惑う私に山岡は頭を掻きながら口を開きました。
「俺たちまだシースルータイプの衣装撮ってないだろ?それで社長がさ…」
透けているのは恥ずかしいから、と無難な学生服やワンピースばかり選んでいた私のせいで二人は社長に呼び出されそろそろ撮れと言われたらしい。
「まぁ、仕事だと思って…ね?」
高槻君がカメラをなにやら弄りながら気だるげな声を出す。