マニアック

後は、堕ちるだけ

「ぅ……あっ、あっ……ん、くぅ……」

 意味のない母音がポロポロとあふれ、恥ずかしさのあまり、彼の太い首にすがりつき、顔を隠す。

 全てをさらけ出して交じり合った後のこと。

自分ですら直視しないような場所をじっくりと甚振いたぶられた今、それでも捨てきれない恥じらいを彼は意地悪く笑う。

「ん、可愛いですね、沙也加さやかさん。少し休憩しましょうか?」

 休憩、とは言いつつ。

「あっ……んぅ……はぁ……」

 私のナカに深く深く挿入されたままの剛直。

 私達は今対面座位たいめんざいという形で繋がったままなのだ。

 いいこいいこ、と子供を甘やかすように優しく背中や頭を撫でられて、顔中にキスの雨が降る。

ぎゅうっと抱きしめられると、ときめきがそのまま膣に伝わってしまいきゅうきゅうと彼のモノを締め付けてしまう。

「あぁん……ふ、んんっ」

 先程までとちゅとちゅと亀頭で突かれていた際奥さいおうはすっかり柔らかく馴染んでおり、子宮口をぷちゅんっと押し上げられる感覚が堪らない。

自重によって普段よりも奥に咥え込んでしまい、くるしいはずなのに、ナカに収まるペニスの硬い存在感が私を甘く痺れさせる。

 

「はぁ……沙也加さんのナカ、いつまでも挿れていたいです……僕の方が癒されちゃうなぁ」

「ん……あん……耳、くすぐったいの……っ! あぁっ! 首も、汗かいたから嗅ぐのいやぁっ」

 甘い刺激に、優しく、ゆるい抽出ちゅうしゅつを止めた彼の局部をきゅんきゅんと締め付けてしまう。

自ら浅ましく快楽を得てしまう切なさにぎゅっと目をつむると、彼はよしよしと頭を撫でてくれた。

 

(気持ちいい……こんなの、はじめて……)

 全身にほとばしる甘い痺れ。

いつまで経っても快楽に酔いしれている身体は、挿入前も最中も、何度絶頂へ誘われたか、もうわからない。

(すごい……私、初めて出会った人とえっちしちゃったんだぁ……)

 そう。彼、優吾さんとは今日出会ったばかり。

 身も蓋もない言い方をすれば、私は彼を「購入」したのだ。
………

………

………
「セックスセラピー、ですか」

「そう。もちろん積極的に進める立場じゃないけど、知識として、ね」

 真っ白な空間の病室で、自分と同世代の男性医師から白昼堂々投げ込まれたパワーワード

「セックスセラピー」。

 え、何それ。そんな有名なの?

 

 私はポカンとしつつ、脳内で「最後にしたのいつだっけ」とぼんやり考えた。

 私、沙也加は結婚して3年目の主婦。現在2歳児の娘のお世話に追われる日々。

 最近の悩みは「夫」という存在だ。

 結婚当初から薄々感じていたのだが、娘の子育てが始まってから徹底的に「この人とは噛み合わない」ということに気がついた。

 とにかく私生活が雑で、なんでもやりっぱなし開けっぱなし。

幼い我が子が皿をひっくり返そうとしても片付けず、重い腰は床に縫い付けられているらしい。

 ひたすらこちらのライフゲージを削られる感覚は私を確実に追い込み……

現在は精神科にカウンセリングにかかっている。

 そして、そこで話題となったのが「セックスセラピー」。

 早いが話、なんでもいいから旦那のストレスを家庭以外で発散させて、娘との生活を安定させることを最優先に考えなさい、ということだ。

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