鼻息が
望結が目を開くと、ガッと顔全体を手のひらで覆われて目の前が真っ暗になった。
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、ハッキリと見えたのは、馴染みのある顔…
ふわふわとした午後の眠りから急に現実に戻されて、望結はまだ状況判断が上手く出来なかったが、自分の目の前で自分の乳房を揉んでいる相手が誰だかわかった。
そしてどうしたらいいのかわからず、とりあえず暗闇の中で無意味にグッと目を瞑った。
圭太の小さく、一本一本の指が太い手がTシャツ越しに望結の乳房を揉んでいる。
望結は急に不愉快な気持ちが心に襲いかかって来るのを感じて、直ぐに逃げ出したくなったが、不安と恐怖が望結の体を硬直させてしまった。
ここでいきなり暴れて逃げようかしら? でも、どうやって?
望結は今まで常に兄のことを
圭太は中学生の時に柔道をしていて、3年生の夏には全道大会にまで出場し、全国には行けなかったが、それでも準決勝まで進んだ実力がある。
それは5年前の話で、それから高校に上がってなぜか柔道を止めたのであるが、しかしそれでもバスケ部の望結が立ち向かって倒せる相手ではない。
こんな事を考えていると、不意に圭太の手がTシャツの裾から入り込んで再び胸を触られた。
「ヒャンッ!」
望結は驚いて変な声を出してしまった。
だがもうさっきから目を覚ましていることに気付いていた圭太は特に動揺することなく、ゆっくりとこねくり回すように望結の乳房を揉む。
望結は怖くなって息が上がる。
はじめて人に乳房を揉まれて、しかもその相手が実の兄であるのだが、気持ち悪すぎて全然気持ち良くない。
何が圭太を喜ばせているのか、さっきからずっと望結の、実の妹の乳房を同じように揉んでいる。
望結には圭太の考えているのが何なのか全然わからない。
どうして自分の妹の体に発情できるのだろうか?
圭太が動いた。
彼は立ち上がると、なんと望結の上に乗っかり、思いっ切りTシャツを剥ぎ取った。
「キャッ!」
望結はやっと視界が明るくなって、見上げると、圭太の小さな目や大きく横に広がっている鼻、ブツブツの頬に、たるんだ口元…圭太は「はぁ…はぁ…」と喘ぎながら望結の乳房を揉んでいる。
それはホントウに、いかにも、全く気持ち悪かった!!!
望結はこの時、圭太が自分の部屋でオナニーをしていたことを思い出した。
ある日、望結は何か用事があって圭太いる部屋のドアを開けた、すると、そこには下半身裸で必死にペニスをしごいていた圭太の姿があった。
望結は直ぐにドアを閉めて、その翌日に友達にそれを気持ち悪い話として喋ったのだが、正直圭太のその姿が見れて嬉しかったのだ。
何せそんな姿を見るのはとても貴重である。
まるで海の生物の映像を見ているような気だった。
しかし今は、映像に見ていたサメが今目の前で暴れているようだった。