不倫・禁断の恋

愛がある人に気付かない①

それは不意にできた、浮気心なんです。

あたしは旦那を一生愛すると決めたのはウソではありません。

だけど、心から愛しているかと聞かれれば悩む。

だって‥旦那だってそうなんでしょ?

あたし知ってるんだ。

旦那の秘密にしている大きな秘密を。

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あたしは桜井咲さくらいさき
です。来週でちょうど30歳になるのです。

来週はあたしの誕生日のお祝いで、ひとつ下の旦那と旅行に行きます。

毎年あたしたち夫婦は、結婚記念日と互いの誕生日は一緒に祝おうと決めている、

桜井家のルールなのですよ。

今年のあたしの誕生日は新しい年代の出発地点。

だからか旦那は妙に張り切っていたなぁ。

 

「さきーーさきーーー?」

旦那のあたしを呼ぶ声に、あたしはハッと我に返った。

語っている間のあたしの意識はなかった。

「咲?寝てただろ」

「あ、ごめーん」

「まぁいいや。今日は咲が好きな小豆の赤飯だぞ。母さんが咲のために作ったって!」

(お義母さんが‥‥あたしは本当は‥‥ううん、だめだね)

「はぁい!お義母さんにあとでお礼のLINEしないとな~」

そう言いながらあたしは熱くなる目頭を押さえたまま、階段を下りて旦那がいるリビングへ向かった。

リビングに着くと、旦那は一緒にお赤飯を食べようと支度をしている。

「そうだ、母さんが言ってたけど‥‥最近悩んでるって?」

「へ?」

「なんか最近LINEが減ったって」

 

どうしてそうなるのか、いまだに不思議だ。

確かに悩んではいる。

悩んでるけど、なぜあの人にわかるの?

あたしの心の中を読んでるの?

なんで?なんでなの?勝手なことしないでよ。

「咲?」

「‥‥‥」

「咲。大丈夫か?」

「あ!うん!お義母さんのお赤飯おいしそうだね!いただきますー!」

あたしには、思考回路を張り巡らせて話をしているということを誰かにバレてはならない。

あたしはこの桜井家では幼くて落ちこぼれで、阿呆あほでいなければならない。

それが、あたしが大好きだった旦那と結婚できる唯一の道だった。

そしてこのことは旦那にバレてはならない。

バレたらそこであたしたちの人生は終わってしまう。

もしも、旦那があたしを本気で好きで結婚していればの話だが。

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