目を覚ますと、朝だった。
重たい
こうすると、全身を巡る血の流れの速さが、急に激しくなって、まだ寝ぼけた頭にその真っ赤な血がドバドバと押し寄せる。
目を覚ますまで重く淀んでいた血は、一気に澄んで、柔らかな熱を全身に運んでくれる。
頭上から朝の光が差し込んで、寝室は明るかった。
愛花(あいか)は寝返りを打って、枕元に置いてある自分のスマホを取り上げて、時間を見た。
愛花は目覚めるのにアラームを使わない。
アラームがなくても、愛花は自然と勝手に、いい時間に目が覚めたので、今まで一度も遅刻なんてした事はなかった。
朝には割に強い方だった。
それでもやっぱり、寝覚めはとても辛い。
辛い、そして不愉快だった。
………
………
愛花は再び寝返りを打つと、そこには直樹が彼女の方を向いて、スヤスヤと眠っていた。
ツーブロックのオシャレな髪の毛は枕の上でボサボサになっている。
左右対称の非常に整った直樹の顔は、ほんとうにキレイで、美しいとさえ言えた。
愛花が好きだったのは、彼のそのシュッと眉間から下へ通った
鼻筋はほんとうに”真っ直ぐ”で、定規を当てて見たら、端から端までシッカリと接するだろうと思われた。
愛花は直樹の寝顔が如何にも芸術作品の一種に思われた。
自分のことをシッカリとその二重の大きな目で見られるのも別段悪くはなかったが、しかし最も彼の顔を美しからんとしたのは、その目が閉じられた時だった。
イタズラをする時のような心持ちで、愛花は自分の顔を直樹の顔に近付けた。
深い呼吸の音がする。
こういう時しかないと思って、その端正な顔の隅々を舐めるように眺めた。
少し離れた所からだと見えなかった小さな毛穴や小さなニキビを発見して、急に妙な親しみを覚えた。
チュッ、と愛花は直樹の頬と唇の二ヶ所に軽くキスをした。
………
………
二人は共に素っ裸だった。
横を向いて寝ている直樹の背後には、昨夜使ったコンドームが放置されていた。
愛花はそれをつまみ上げて、その中に溜まった、白い液体を暫く眺めた。
昨日のセックスは特に最高なセックスだった。
一回のセックスで、愛花は二回もイッてしまった。
メチャクチャ気持ち良くて、それは彼も同じだったらしく、二人は抱き合いながら互いの体温に包まれながら寝た。
…直樹がわたしを強く抱きしめながら、腰を器用に動かして膣の性感帯を刺激する。
わたしも彼を強く強く抱きしめて、ディープキスをする。
激しく腰を突かれてわたしは彼の大きな口の中に甘い喘ぎ声を漏らす。
彼はわたしの体を持ち上げて、対面座位で彼はわたしの腰を下からガンガンと突き上げてくる。
お腹に彼の温もりが強く強く感じられて、わたしは乳房を大きく揺らして喘いだ。
揺れる乳房を彼がその大きな手で揉みながら、乳首を口に含ませる。
わたしと彼は非常に幸福だった。
愛花はそんなことを思い出して、急にムラムラするのを感じた。
情欲が妖艶な色彩をしてメラメラと燃えて、ピンク色の煙が体を火照らせた。