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朝にセックスなんてした事がないけど、別に悪くはないよねぇ、よし、しよう。
愛花は上半身を起こして、そして直樹の肩を大きく揺すった。
中々起きない。
「ね?ぇ?、な?お?き!おっ、きっ、てっ!」
やっと目を覚ましたが、愛花とは反対にとても目覚めの悪い直樹は、大きなあくびをして、目を開けずにゴソゴソと体を動かすだけだった。
「ちょっといい加減起きてよ、もっ!は?や?くっ」
直樹はダルそうに片目だけを開けると、唸りながら寝返りを打って、自分のスマホを見た。
そしてスマホを置くと、又寝てしまった。
「ちょっと何で寝るのさ!ねーっ、直樹よ起きてよ」
「んー、あぁ?もう、うるさいな。何さ」
「何さじゃなくて起きてよ」
「んー、まだ時間あるもん、もうちょっと寝る」
その後も愛花は頬を膨らまして、甘えるような猫みたいな口調で何度も何度も直樹の睡眠を邪魔した。
直樹はまた寝返りを打って、少し体を起こすと、
「もう何さ。寝かせてよもう」
と少し怒ったような口調で言った。
「だってぇ…したい事があるの」
「ん?何したいことって?」
直樹は重たい瞼を高く持ち上げて、少しでもその話に興味のあることを示した。
「セックスがしたい」
「え?なんて?」
「直樹とセックスがしたいの」
直樹は少し驚いた表情をして、愛花の顔を見た。
「いつ?」
「いま」
愛花の顔は寝ぼけてぼんやりした視界の中でも、非常に真剣だった。
それに直ぐに気付いて、直樹はグッと腕を天井へ伸ばして、又愛花の方を見た。
「ねぇ、しようよ。ねぇ?良いでしょ」
直樹は
しかし彼にとっても、朝のセックスは初めてだったし、何より愛花から、こんなにセックスをしたいとせがまれたのも初めてだったので、それらに対しての驚きを隠せなかった。
二人はその場に座った状態で、キスをした。
外からスズメの鳴き声が聞こえて来る。