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人がざわめく。
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通勤に通学にと人がごった返すプラットホームに電車が滑るように入ってきた。
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彼女は鞄を抱え直し、いつも乗る三両目に足を進めるが、普段と同じように混雑している。
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どこも同じ、空いている車両なんてないない…そう思いつつ彼女は他の車輌を小走りで見て回ると一つだけ、少し空いている車輌があった。
座れはしないものの階段から遠いお陰で寿司詰めを免れている最後尾の車輌、助かったとばかりに彼女はそこへ飛び乗った。
しかし快適だったのは次の駅につくまでの僅かな間のみ。
駅につきドアが開くやいなやすぐに沢山の人がなだれ込みさっきの三両目とは比較にならないほどの満員電車になってしまった。
一気に室内の気温が上がり酸素が薄くなった、気がした。
穴場を見つけたと思ったんだけどなぁと肩を落としたまま彼女は目の前のスーツの男にぴったりくっつき、背後からもサラリーマンに押されまるでサンドイッチの具のように押し潰されたままガタンガタンと列車の揺れに見を任せる。
もぞ、と彼女はふいに身を
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お尻に何か当たっている、けれどこの人混みでは鞄や人の体が当たることもあるし何より逃げ場がない。
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「…っ!」
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戸惑う彼女の尻に当たる何かが、するりと動く。
確実に人の手であろうそれはスカート越しにお尻を撫でるように下から上へと、手の平をぴったりくっつけたまま上がってきた。
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(痴漢だ…)
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毎朝満員電車に揺られている彼女のことだ。
痴漢に会うのは初めてではなかったし多少強気に出ればすぐに離れることを知っていた。
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「…やめてください」
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直に太腿を撫で回される不快感に眉をしかめながらなんとか後ろへ顔を向けてはっきりとそう告げた。
しかしその瞬間に背後のそれとは異なる別の手が横から彼女のスカートの中に潜り込んできた。
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(えっ…?一人じゃない!?)
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初めての、そして予想外の展開に戸惑い息を飲む彼女の下半身を二人の手が好き勝手に触ってくる。