あたしはほかの子と違う。
だってこの学校で一番のイケメンは「
斎藤くんは優しくて男女問わず仲が良くて、気が付けば周囲に仲間がいるんだ。
けど、あたしは違うと思う。
一番のイケメンは斎藤くんの友達の
前髪が長くて細々としていて、ひ弱そうで、いつも斎藤くんの後ろにいる。
あたしはそんな陽太くんとは幼馴染。
幼稚園からずっと一緒で、あたしの初恋の人なんだ。
長い前髪をかきわけた陽太くんには誰も敵わない。
それを知っているのはあたしだけ。
斎藤くんのおかげで陽太くんは誰からも注目されない。
ありがとうございますだよ!!
「
学校の教室であたしは一人だけうっとりと陽太くんを眺めていた。
それを気づいた友達のゆながあたしに声をかけてくれた。
「ん-ー?」
「さっきから何ニヤニヤしてんの?もしかしてまた斎藤くん??」
「‥‥‥うん」
彼女は高校から仲良くなった女友達のゆな。
実は彼女は陽太くんと付き合っている。
まぁ、認めてないけど。
陽太くんは誰も好きにはならないから、自称なんだろう。
陽太くんの苦手なタイプだ。
………
………
「あー、幸せ。友達に美咲がいて、彼氏の陽太くんがいて、最高だわ」
「そうだねー。」
これでも‥‥‥あたしは我慢してる。
本当は今すぐにでも
「あたしが好きなのは陽太くんだから!!!」
と言いたい。
けどそれで傷つくゆながいることを知っているから言えない。
うーん。
もどかしい。
………
………
………
「あ、弁当箱忘れた」
ある日のゆなとの下校途中に、あたしは気づいた。
「えー。そんなことしてたら斎藤くんが悲しむよ?」
「(何が‥‥‥?)」
という突っ込みを自分の中で終わらせる。
「取りに行くわ。ゆな先に帰ってて」
「えぇーゆな一人にするの?誰かかっこいいお兄さんに捕まったらどうすんのぉ?」
「はいはい。じゃぁね」
「ばいばーい」