あたしには守るものがある。
その子の名前は、窪田至(くぼたいたる)くん。
至くんはあたしの8歳年下。
初めて出逢ったのはあたしの誕生日の日。
なんで家族の集まるところに、知らない男のコがいたことに疑問しかなかった。
けれどもそのあとにすぐわかった。
「
優しくにっこりと笑いかけてきた女性、窪田あかりさん。
その横にはまだ幼い至くんがいた。
「悠香ちゃん、紹介するね。この子は私の一人息子の至っていうの。5歳よ」
「悠香お姉ちゃん、13歳おめでとう!!」
「おね………?」
不思議だった。
さも前から一緒にいたような話しぶりで、むしろ怖かった。
疑問になっていると、お父さんが外から帰ってきた。
先ほどまでは会社からの電話で外にいっていたのだ。
「悠香。まだ紹介してなかったな。彼女は窪田あかりさんだ」
「こんにちは!」
「こん、にちは……」
「実はな、お父さんあかりさんと再婚しようと思うんだ!」
「……………………え?」
「あかりさんが新しいお母さんで、至くんが弟だ」
「えぇぇぇぇええ!!??」
………
………
………
「起きて。ねぇ、起きて」
そこで可愛い声が聞こえてきてあたしは目を覚ました。
視界には至がいる。
「………あたし寝ちゃってたんだ」
「うん。お腹空いた」
「今作るよ」
「………泣いていたの?」
立ち上がったあたしは振り返って、ベッドに繋がれている至を見た。
「なんでだろうね」
「わかんないからなにか話して」
「………そうやってあたしに話させて逃げようとするんじゃない?」
「逃げないよ。お姉ちゃんが心配だから」
「嘘つき。じゃ、待ってて」
あたしは至から目を離してから目じりの涙を拭いて、
“監禁室”から出て行った。
ドアを閉めたら念のためと鍵をかける。
あたしはいつからか、おかしくなった。