「わたくしはもう、自分のお家に戻りたくないのです。早くわたくしを迎え入れてくれる殿方を探して、お家の外に行きたいのです」
「うん。本音は?」
「‥‥‥早く誰かに愛されたいのです。ただ、愛情が欲しいのです」
「うん」
こうやって話を聞いてくれるだけなのに、なぜか
なんだか最初からわたくしの立場を存じているかたのようで、居心地が良かった。
………
………
甘えても‥‥‥いいのでしょうか。
「あ、あの‥‥‥あの、わたくしは―‥‥「お姉さま!?」」
「え」
わたくしはすぐに声の場所を見れば、美琴がいました。
「お姉さまこんな暗いところで何を‥‥‥」
「あ、あのね、」
「すぐお姉さまは誰かを誘って遊ぶのですよ!?信じられません!!ねぇ、そうですよね、お姉さま!!!」
「‥‥‥」
この殿方の雰囲気が変わりました。
なぜでしょうか。いつもならこのタイミングで美琴の肩を持つのに。
あぁこんな気持ちはよくありませんわね。
どなたが相手でも言い方に問題がございますわ。
わたくしでは‥‥‥
「おや?そこにいるのは倉島家の夫人では‥‥‥?」
お母さまもいたっしゃったのね。
「‥‥‥!!山下伯爵さま!?」
「‥‥‥え」
思わずわたくしは声を出した。
お手紙を美琴にくださった方です。
「随分と舐められたものです。僕は‥しっかりと鈴音さまと縁談を持ち掛けたのに、代わりを割り当てるとは」
「えぇ!!??代わりと言うのは‥‥‥」
「そこにいらっしゃる、少々幼児なお子様のお話です」
………
………
「な!!!」
「僕は決めました。彼女、高倉鈴音は僕のお嫁さんになっていただきます」
「そんな!!!」
「美琴、さま何か問題でも?」
「か、代わりを割り当てるとは私じゃない!そこにいるお姉さまが書いて出したの!!」
「あいにく僕は一度約束したことは守るタイプなので。さ、鈴音、少し一緒に話をしよう」
あぁ、この殿方はきっとわたくしの運命の人では‥‥‥?