私は横抱きにされて、ベットに横たわる。
いとも軽く持ち上げられたことに、ついどきどきしてしまった。
「んっ……ふぁ……」
さっきよりも優しい……でも、口内を暴れる舌は遠慮なく私のことを食べつくそうとする。
「んむ……あっ……っちゅう……」
くちゅくちゅと舌が擦り合わさると、少しチョコレートの味がする。
なんだかそれが嬉しくて、私からもちゅっちゅっと彼の舌を吸ったり、やわらかく唇で噛んでみた。
「ん……脱がすぞ」
伏見は私のニットの裾をぐいっと持ち上げる。
インナーも一緒に脱げてしまい、あっという間にブラだけになってしまった。
「……結構あるな」
くいっと指でずらされると、ぷるんと胸の頂が露出してしまう。
「あ……恥ずかし……」
つい隠そうと捩っても、強い力で止められてしまう。
神妙な顔付きで胸をむにむにと揉まれるのはなんだかおかしかった。
「ん……ちゅっ……」
ふいに、片方の乳首に舌が伸ばされ、くすぐるような仕草で舐められる。
もう片方も、同じような動きで乳首の先っぽをくりくりと転がした。
「はぅ……なんか、遊んでない……?」
「んっ……遊んでない」
答えるのと同時に乳首をきゅうっとつねられる。
口に含んだ方は、ねっとりと舐められたまま、ころころと弄ばれるばかり。
「あぁ……それぇ……っ!」
つねられた方はじんじんと疼くのに……舐められたままの弱い刺激に、もっともっとと反応してしまう。
「もっとして欲しい?」
「ん……!意地悪、しないでぇ……」
優しい愛撫に腰がもじもじと動いてしまう。
伏見は薄く笑うと、舌先でちろちろと優しくなぞった。
「ひぁっ!ふぅ、くすぐったぁ……っ!」
とってもえっちな動きなのに、優しく押しつぶされると甘い刺激に蕩けてしまう。
その一方で、もう片方の乳首は相変わらずきつくつままれる。
「んんんっ!」
優しすぎる刺激と、無遠慮で強い刺激。
交じり合わないそれは、お仕置きとご褒美を一緒に与えられているみたい。
「はぁ……もぉ、そこばっかりぃ……っ!」
苛められすぎた頂は、もう隠しようもなくぴんと自己主張をしてしまい、伏見の舌や指にもっともっとと懐いてしまう。
意味をなさなくなった下着を外されると、最後までしちゃうんだな、と今更ながらどきどきした。
「莉乃、可愛い」
自分だけが上半身をあらわにしていることが恥ずかしくて身じろぎすると、ぎゅっと抱きしめられる。そして、ちゅっと、おでこにキスを落とされた。
「か、かかかかわ……」
え、今の、私に、言った?
きょとんとする間もなく。羞恥心が募り赤面する。
――ザ・天邪鬼な伏見が私のこと、可愛いって……?
なんて反応したらいいのかわからず、「……嘘」とこぼす。
「嘘じゃない。莉乃は、可愛いよ」
伏見はなにか吹っ切れたような表情だった。そして、
「ここは素直でエロ可愛いな」
太ももから伝う手が、クロッチの部分をくにゅっと撫でる。
愛液ですっかりぬかるんだそこは、ぷちゅっ!とえっちな音を立てた。
「ばか……伏見のえっち」
「はいはい。これからもっとするからな」
「え、あ、ちょっと!」
伏見は私のスカートを足から引き抜き……ショーツに手をかける。
「……いいよな」
ゆっくりと降ろしている……そんな今更なこと、確認しないでほしい。
声に出せないかわりに頷くと、するりと心もとない布が離れる。そして
「あっ!や、そんな、いきなりぃ!」
膝裏を抱えられ、大きく足を開かされた。そして
――くりゅ!くにゅっきゅきゅっ!
「ひぁああああ!」
誰にも触られたことのない秘豆をぷにっとつままれ、人差し指と親指ですり潰すように転がされる。
それだけの刺激に腰が弓なりになり、まるで電気が走ったように目の奥がちかちかした。
「あああっ!ふにゃ、ああっ!そこぉ!くちくちしないでぇ!」
「すげ……つまんだだけで、いい反応……」
「ふぁあああっ」
ちゅこちゅこと根本から先端へ撫でつけられると、恥ずかしそうに隠れていた陰核はぷっくりと充血し勃起してしまう。
そのままくいっと陰核が隠れないように両手で固定され、外気に触れた。
「ひぁ……やだ、こんなのぉ……!」
誰にも見せたことのない部分。
感じたことのない刺激。
恥ずかしさと快楽にぐちゃぐちゃにかき混ぜられた心に、さらに追い打ちをかけるように伏見はそこに口をつけた。
――ずちゅっ!ぢゅるるるっ!ぬじゅっじゅぽっ!
「ああああああっ!」
すぼめられた唇で思い切り吸われたとき。
快楽を得るためだけにぷっくりと腫れた陰核がそれに耐えられるわけもなくあっけなく果てる。
びくんっびくんっ!と全身が跳ね、痺れるような刺激と、ナカからこんこんととろみのある液が溢れる。
伏見は――にゅぷぷぷ……っとナカに舌を入れると、そのまま器用に愛液を掬い、果てたばかりの陰核にまぶした。
「にゃあああっ!だめぇ!イく!イったばっかり、なのぉおおっ!」
れろ……と陰核をなぞる舌はくにゅくにゅと逃げるそれをしつこく追いかける。
――ぐちゅっぐちゅっぐにゅ……
「だめだめだめぇええええっ!」
ずっとイきっぱなしになっているように腰ががくがくと震える。
くりくりと単純な動きで同じ場所を舐めあげられているだけなのに、ナカがきゅんきゅんと収縮するのを止められない。
「あっあっあっ!ひ、ぅっ……!もぉ、イくぅううっ」
――じゅっじゅぅ……っ!
陰核を唇で甘噛みされたかと思うと、先端を舌先でくるくるくると弄び、根元に歯を当てられる……ゆっくりと、舌全部で押しつぶすように舐められたとき。
ナカから勢いよく体液が溢れ、腰が弓なりになった。
「あああああっ!」
先ほどよりもゆっくりと、その絶頂は訪れた。
さんざんいじめられ、感度が高められた乳首も同時に、身体がひくひくと痙攣する。
しばらく、何も考えられないくらい頭がぼぅっとする。
果てた後も、体にしつこく残る快楽の痺れは、びくんびくんと私を襲った。
「もぉ……だめって、言ったのにぃ……」
あがった息をやっと潜めてじろりと睨むと伏見はふてぶてしく笑う。
「でも、気持ち良かったんだろ?二回もイったな?」
全然悪びれてない様子がめちゃくちゃむかつく。
「……んにしても……莉乃めっちゃエロいな……こんなに感じやすいとは」
「し、知らない!こんなの初めてだからわかんないもん!」
「褒めてるっつの。つか、すげぇ俺のこと喜ばすこと言ってるの、自覚してないだろ。あーもっかいトロ顔見てぇ……すげぇ可愛かった」
酸素が足りていない脳みそで情報処理が追い付かないけれど、とにかく喜んでくれていて、私のことを可愛がってくれていることはわかった。
「……」
ぎゅうぎゅうと抱きしめ合う度に、ふともものあたりに当たるそれは爆発寸前かと思うくらい熱く、自己主張している。
「ね、私もしよっか?」
パンツの上から伏見のそこをなぞる。
熱くずっしりとしていることが硬い布越しにもよくわかった。
こすこすと撫でつけるようにしてあげると伏見は少しくすぐったそうにする。
「ん……正直超して欲しいけど、次回で。今日されたらぜったいもたねー……」
ベルトを外し、前をくつろげると、ぶるんとお腹についちゃいそうなくらい勃起したそれが現れる。
「お……きい、ね?」
誰とも見比べようもないからよくわからないけれど、とりあえず想像の倍は大きい。
「わ……こんなに脈打ってるものなんだ……血管浮いている……」
ついまじまじと見てしまった。
「……ゴムつけるから」
いつの間にか、あぐらをかいた伏見がパッケージを手にしている。も、持ち歩いているのか。
「わ、私、してもいい?」
「……できんの?」
「わかんない。やったことないし……でも、させて?」
手渡されたゴムは独特の匂いがした。
先端から、くるくると被せていく。途中なんどか息を詰めていたみたいだけど、苦しいのかな?
「でき、たと思う……」
「ん、さんきゅ……」
終わったところで、再びころんと押し倒される。
あぁ、いよいよなんだな、と見上げると、伏見の方が緊張しているみたいだった。
「極力、優しくするよう……頑張る」
くちゅ……と。
密口にあてがわれたそれは、人間のものとは思えないような熱さに感じた。
「力、抜け……っ!」
「ッ──!」
――ずっずっ……ずぷぷぷぷっ!
未知の圧迫にまず痛みが走った。
奥へ奥へと進む違和感が、どこまでもナカを暴いていくようで恐怖が走る。
「痛ったぁ……っ!」
「息、詰めるな……っ!」
耳元で言われても、つい歯を食いしばってしまった。
ナカにそれがあることをじわじわと実感していくと、やがて痛みは消えていく。代わりにどうしようもない熱が集まった。
「はっ……すっげ……きゅうきゅう締め付けてきてくる……っ」
「ん、全部、入ってる、よね?」
「あー……ちょっと余力残してる」
「うううう嘘でしょ?」
「ん……くっ!やば……気ぃ抜けね……っ!な、もう痛くねぇか?」
「違和感、すごいけど、大丈夫……かな?」
「ん……ゆっくり動くな……」
きゅうっと抱きしめ合った後、耳をふさぎたくなるようなえっちな水音が立つ。そして
――どちゅんっ!
「あぁっ!にゃあぁあっ!ナカ、こすれてっ……ふぁああっ!」
奥を突いた肉棒は、ずっぷずっぷと肉壁を擦る。
グラインドも合わせた動きでギリギリまで引き抜かれると、ナカがきゅんきゅんと締め付けてしまうのを感じ、自身の羞恥心を煽った。
それを慰めるように最奥にごりっと入ってくる。
「やあああッ!も、だめ、おかしくなる……!へんなの、へんなの来るぅうううっ」
ナカを暴かれる度にちろちろと灯っていた快楽がどんどんたきつけられる。
それは陰核でイったときとは違う刺激で、絶頂なのかなんなのか自分のことなのにわからない。
「俺も、そろそろ……くっ!一緒に……っ」
「はぅ……!もぉ、イっちゃぁあああっ」
奥をぐりぐりと突き上げる動きに合わせ、ぢゅぼっぢゅぼっ!と嫌らしい水音が激しくなる。
刹那、はっきりと伏見の形が分かるくらい締め付け、果てた。
「あああっ……も、だめぇ……!」
ひくん、ひくんと、ナカは徐々に緩く、固い形を抱きしめるように収縮する。
私に覆いかぶさる伏見もしばらく荒い息が続き、じんわりと汗をかいていた。
「はぁ……あー……長かった」
「ん……そ、かな……なんか、ずっと私ばっかり気持ちよくなっちゃったね」
「いや、そのことじゃなくて、莉乃のこと抱けるようになるまでの過程。今更放すつもりさらさらないけど、俺かなり嫉妬深いからな」
「え、あ、そ、そうなの?」
「……やっぱ全然気が付いてなかったんだな」
私の隣にごろんと転がった伏見は、器用にゴムを外し、ティッシュでくるむ。
なんとなく気恥ずかしくて、私は顔を伏せた。
「い、いつから私のこと、好きだったの?」
「……自覚したのは高校だな」
「ええええ言ってくれればよかったのに!」
「その時言ってたら絶対玉砕してただろうが!」
それもそうかも、と思ったけれど口にするのは酷なので笑ってごまかす。
――付き合い立ての、初めてのピロートークがこんなんでいいのか?
思い返してみればだいぶムードなんてない。
でも、伏見との甘いキスを繰り返し、来年は何を作ってあげようかな、と考える。
これはこれで、ハッピーエンド。