恋のはじまり

ハッピーチョコレート

「え、今の話ガチのやつ?」

友達の幸美ちゃんに「高級チョコのなんたるか」を(ほぼ一方的に)トークしていた所、誰かにあげるあげない問題から、先日の伏見とのやり取りを話したところ、幸美ちゃんはいかにもドン引きという表情になった。

「え、なんかおかしなこといった?お菓子だけに?」

「いやいやいやいやロップイヤー……じゃなくてだな。なんでチョコ誰かにあげるあげないの話題を伏見としておいて『挙げる人いないなー、教授にあげるかー』になるわけ?」

「最強に後腐れのない相手でしょ?義理の極み」

「教授に失礼だ!まぁ男のあげる人どうせいないだろ弄りは確かにうざいけどさ……伏見かわいそ……」

「え、なんで」

「……そこから先はノーコメ。まぁ、悪いこと言わないから伏見にも容易してやんな」

「えぇーあいつ何食べてもどうせ文句言うよー。明治の板チョコが結局一番おいしいとか言うよー」

「再三高級店のを食べた後にチロル食って『私はやっぱ庶民派だわぁ』って言ったあんたと一体なにが違うわけ」

「ぐ……それは、その、バレンタインっていうお祭りが終わったら日常に戻らなきゃだし?さすがに毎日ずーっとスペシャルなチョコ食べたいってわけじゃないから、どこかで普通のチョコに戻らなきゃなーって……」

「はいはい。とにもかくにも、高級でも庶民派でも手作りでもなんでもいいけど、ちゃんと伏見に用意しな。教授への義理チョコとは別のやつでな!」

幸美ちゃんに言われて考えてみれば、そもそも私はちょいちょい伏見にチョコをあげている。

確かにここ数年、受験やバイトで当日合わない日には用意していないけれど。

まぁ、友達に用意するのもそんなに変な話でもないのか、と思い私は素直に用意することにした。

(んー……でも、どうせだったら美味しいって言わせたいし……ラッピングとかにこだわる奴じゃないけど、さすがに市販の見たことあるようなやつじゃなぁ)

あらゆる角度からのぼやきを考慮した結果。

「うん。作ろう。久々に」

その結論に至るまでにあまり時間はかからなかった。

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