恋のはじまり

編集長とその部下

「はぁ?まだ取材終わってないの!!??」

「ごごごご、ごめんなさい!!!」

あたしの名前は朝比奈由香あさひなゆか

とある雑誌の編集長を任されています。

上記の光景は、この部門のよくある日常なんだよね。

最近大学を自主退学した子が問題児で‥‥‥毎日毎日怒鳴どなっているんです‥‥‥。

 

山根やまねくん。なんでこの社会に入ったのかな?取材は今日の12時までにってお願いしたよね?」

山部やまべです。明日と今日と間違えてしまっただけです」

「嘘だね山田やまだくん。きみが嘘つくときは右の耳が赤くなるもの。」

山部やまべですって。じゃぁこれから行ってきますから」

「言い方よくない!」

「‥‥‥行ってくるから待っててください!」

「はいはい」

「同じことはしちゃだめだからね」

「朝比奈編集長も同じ間違えはやめてくださいね」

「誰が!!」

最後に怒鳴れば、彼は部署のドアを勢いつけて開いて出ていき、おもいきり閉めて出て行った。

「‥‥‥」

 

あたしは頭を抱える。

そんなところにサブ編集長と言われる木村くんが来た。

あたしの頭を撫でるなり、笑っている。

「なに」

「いやぁ、可愛いなぁって」

「あれがかわいいの!?だったらあなた育ててよ」

「それは君の仕事だろ?」

「いや、新人はあなたも育てられるでしょ?」

「俺だと断られる上に逃げられるよ。今までだってそうだったろ?」

「あーはいはい。女性はあなたがいいとは思うけど、男性には厳しいのかしら」

「‥‥‥まぁそのうちにわかるさ」

意味深な発言をして木村くんは部署から「取材いってきま」と言って立ち去った。

もやもやが残る中での仕事に、嫌気がさした今日この頃。

もう、どいつもいつも‥‥‥。

 

「編集長!1番にお電話入ってます!」

「んあ?了解。ありがとう」

あたしはデスクに座って電話に出た。

「はい。朝比奈です」

それは、

「‥‥‥え?」

悪魔の電話であったことをハッキリと覚えている。

‥‥‥

‥‥‥

「おばあちゃん!!」

場所は変わり、ここはあたしの実家にある総合病院だ。

数か月前から体調を崩して入院している。

おばあちゃんの家族はあたししかいない。

老後も仲良く過ごしていたおじいちゃんもすでに亡くなっていて、

あたしが今の職場に来るまでずっと二人きりで生活していた。

「先生!おばあちゃんは‥‥‥」

部屋に入るとそこには主治医と二人の看護師さんがいた。

さっそく話しかける。

「朝比奈さん。おばあさんは今眠りました。‥‥‥そろそろ覚悟をきめてください」

「‥‥‥」

1 2 3 4 5
RELATED NOVEL

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。