何もない田舎の風景だけれど、彼がいるだけで何か特別なもののように思えた。
東京での生活、仕事のこと、日々の不満や愚痴も含めて、互いに積もる話しは盛りだくさんだ。
日も沈みかけた頃、バス停のベンチで休憩する事にした。
「えっ、ひろくん、東京にくるの?!」
「まだもう少し先の事だけどな。そっちに転職しようかなって考えてる」
思わぬ発言に、思わず笑顔がこぼれる。
彼も同じく笑顔でこたえ、私達は自然と身を寄せ合った。
まるで何年もの空白などなかったように、どちらともなく唇を重ね合わせた。
「メグ。俺、メグが好きだ。……帰ってくるの、ずっと待ってたんだ」
そう言って、彼は再び私を抱きしめた。
こんなに幸せな事があって良いだろうか。
私はこくりと頷いて、もう一度彼に口づける。
長年の想いは、最早爆発寸前だった。
「好き……私も、ひろくんが、ずっとずっと好きだった」
しがみつくように、彼の首に腕をまわした。
この心臓の音を、彼にも伝えたい――
「……メグ」
抱きしめる彼の腕に力がこもる。
その手はやがて私の頬をつかみ、繰り返し繰り返し唇を重ねた。
最初はただ触れるだけの口づけが、徐々に濃くなっていく。
舌先でぺろりと舐めあげ、薄く開いた口の中へと侵入してくる。
「んっ……」
思わず、吐息がこぼれた。
私を抱きしめていた彼の手は、ゆっくりと私の乳房に触れる。
大切な物を扱うように優しく、弾けるように強く、大きな手のひらで包み込む。
「あっ……、あ」
………
………
………
こんな場所で――という気持ちは、すぐに何処かへ消え去った。
バスはもう来ない。
人通りもない。
まるで切り離された不思議な空間の中にいるようだ。
「メグ……好きだ。好きだ」
愛を語りながら、彼の舌先が首筋をなぞる。
私は彼の愛撫に身を震わせながら、少し抑え気味に声を放つ。
「あぁっ……私も、好き、ひろくん」
彼の頭を抱え込むように抱きしめると、彼の指がスカートの中に潜り込んできた。