マニアック

私の知らない世界…実際に踏み込んでみると意外な私がそこに…【前編】

地元からそう遠くない土地にいるとは言え、大学生ともなると中学時代の友人達と集まることは少なくなる。

遥香はるかも例に漏れず、もう何年も当時の友人達と顔を合わせてはいなかった。

そんな折に来た一本の電話で同窓会の開催を教えられた時は懐かしさもあって二つ返事で行くと返した。

それが一ヶ月前のこと。

大学が夏休みに入り他県へ進学した人たちも戻ってくる8月、市街地の居酒屋で五年ぶりに顔を合わせたかつてのクラスメイト達は、皆色々に変わっていた。

真面目で勉強の出来た委員長は都会の大学へ進学していたしヤンチャでいつも先生に怒られていた男の子はその座った肝っ玉からか思い切って起業していた。

サッカーが上手くて女子に人気だったイケメンはバーテンダーになって更にモテっぷりを加速させていたし動物好きで三年間クラスの動物係を務めた女の子は大学で畜産を学んでいた。

案外、意外性の無い変化の中で1人、予想外の変貌を遂げていた友人がいた。

佳奈子かなこ、彼女は中学生の頃は言えば地味で太め、教室の隅のほうで遥香を含む数人の友人達と静かに談笑していたような女の子だった。

そんな彼女が派手な化粧をして短いスカートを履いているのだから皆一様に驚いた。

体型は相変わらずスリムとは言えないもののメリハリはあり、女である遥香にも生々しい肉感と色気を感じさせた。

居酒屋らしい料理を摘みながら思い出話に花を咲かせている面々を横目に遥香は隣に座る佳奈子に小声で「この後、二人で飲みなおさない?」と持ちかける。

うん、行こうと快く頷いた彼女のその笑顔は、厚く化粧が施されていたものの、しっかりとかつての面影が残っていた。

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