マニアック

最愛のドSな彼

足場を世界ごと縦に斬られて、底なし闇へ頭から急落していく。

甲高くなびく自身の悲鳴を聞きながら、意識が消滅する瞬間――

無理矢理に意識を引き戻された。

「っは、は、は、はぁっ」

乱れてかすれた呼気が、私の唇から引っ切りなしに溢れ出る。

布団に寝かされた私の背中は汗でじっとり湿り、四肢は思い切り突っ張り、握りしめた手指はもはや真っ白だった。

涙と唾液でぐちゃぐちゃになった顔で、私に覆いかぶさっている男を見上げる。

思考の回路があちこちで点滅して、ここがこの世の果てなのかあの世の始まりなのかも判然としない。

「いい、顔してる」

「うぁっ……!」

男は消える寸前の蝋燭そうそくみたいな微笑みを浮かべて、私の腰をぐいと抱き寄せた。

強烈な拡張感にうめき、その声でやっと我に返る。

これは毎夜のことで、毎夜いく度も繰り返されることだった。

 

「かず、き……、むりだ、から、許してっ」

恋人とのしとねに響くにしては切羽詰まった声で私が哀願すると、和樹<かずきは眼を細めて「ははっ」と笑った。

膨張した雄鉾で最奥をぐちゃぐちゃと混ぜさいなまれて、私の身体はまたビクビクッと大きく痙攣を始める。

「かわいいな、君は。俺がちゃんと見ててやるからな」

「いや、や、うあ……ッ」

掌で子宮の上を押されて、さらにはっきりと和樹の雄熱を感じてしまう。

入り口から最奥まで万遍まんべんなくなぶられる心地で、また私の視界は四隅を黒く染めていく。

「イ、っちゃ……つ、突かないで、突かないでぇ……っ」

「君はおねだりが上手だなぁ」

ぬこ……、と最奥で震える子宮の孔口が力尽くで押し広げられ。

「……ッッ!」

声も出せずに絶頂したのを最後に、思考は焼き切れただ嬌声きょうせい
ばかりを撒き散らすいつもの夜に墜落していく。

それなのに、最後の一秒まで意識を失うことは許されないのだ。

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