「やだー高志のばかー」
「「!!」」
まったく知らない恋人が近くを歩いていた。
慌てるあたしは快感を忘れ去っている。
恋人が見えないけど、あたしたちには見える位置で潜んだ。
「ねぇ高志。ここでえっちしない?」
ちょっと!
待ってよ!
困った!
早く立ち退いて!!
「……ゆーき」
「!?」
小声でコウキはキスをしてきた。
そのままでまた出し入れが始まった。
待ってよコウキ!
「(ひそっと)興奮してきた。ゆきがイクまで少しずつしてあげるな」
いらーん!!
けど…
良くないんだけど…
イキそうなくらいの快感が押し寄せる。
「っふ…ん…、んんっ……んんん!むぅ!」
もうだめだ。
人がいようとどうでもよくなった。
「いくぞ」
コウキがそういうと速さが増した。
もう耐えられない。
「-----っっ!!!!」
少しのけぞり状態のままで絶頂を迎えた二人だった。
-………
………
………
例の恋人には幸いなことにばれなかった。
乱れた呼吸と乱れた服を整えていた。
「なぁゆき」
「なに?」
「こういう祝い日のえっちはなんていうか知ってる?」
「?知らない」
「“姫はじめ”だよ。また姫はじめやろうな!」
「はいはい」
あたしは処女を失って、
何にも代えられない大切な存在を得た。
もう離れられない。
- FIN -