恋のはじまり

星からこぼれた涙とセックス・前編

教室に着くなり、あたしは一人で窓際の自由席に座る。

頬杖をついて窓越しに空を眺める。

ポカポカしていて、ちょうちょが舞っていて、とても静か。

このままだと眠ってしまいそうなくらい。

心地よいのだ。

けど、それを邪魔してくる人がいた。

「ねーねー同じクラスメイトだし名前教えてよ!」

「俺が先に声かけよって言ったんだぜ!」

「いいからいいから!」

…………

正直どうでもいいわ。

というかあたしなんか相手にしてないで他のマドンナ見つけに行けよ。

そんな風にしか思えない。

―ばん!

あたしの座る席の机を、勢いよく叩いたのは流星だった。

「りゅ………」

「引っ込んでろよ。………俺んだ」

!!??

そう言われれば、男子はあたしから離れていった。

「ちょっと流星。アンタるるちゃんにバレたら半殺しになるよ?」

「…………別に。勝手にしろ」

なんだかご機嫌斜め。

なんでだ??

こんなに切れやすいやつだっけ??

あたしは初めて流星が怖かった。

「おーい。どこでもいいから席つけよーー」

それはあたしらの担任の先生だった。

どうやら朝礼をやるらしい。

生徒は廊下にならんで体育館を目指した。

朝礼では、お決まりの校長トークがあった。

しかしそれほど長くはなかった。

あっさりと終わって、教室に戻る。

あたしはさっそうと一番後ろの窓側を陣取る。

前の席には流星が、横には違う女子が座った。

「あの、あたし麻生まもりです……」

話しかけてくれた!かわいい!

「初めまして。あたしは―……」

栗原雪美くりはらゆきみでーす」

それを言ったのは流星。

………

「黙ってて」

「はーい。あ、今日この後帰るんだったら寄り道しね?」

「忘れたの?今日はるるちゃんの友達とWデートでしょ」

「えー俺男はいらねー」

「ん-、まぁるるちゃんの友達が話したいって言ってくれてるし……」

「…………」

「何不機嫌になってんの。第一アンタたちについてるのも嫌なの」

「勝手にしろ」

この時はまだ知らなかった。

流星の本心すら、るるちゃんの本音すら。

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