無言でキーボードを叩いていると
“―…課長、もっとして…気持ちいいっ…”
なんて昨夜の記憶が少しずつ蘇ってくる。
まさか私があんな事口走るなんて、とモヤモヤ湧いてくる羞恥心を振り払うように必死で目の前のモニターを睨みつけた。
乱暴で自分勝手なセックスばかりする前の彼氏とは全く違う、ねっとり絡みつくような指使い、そしてテクニック…
何をしていても否応なしに思い出してしまって体が火照る。
「…田山、田山佳奈子」
「わ、は、はいっ!なんですか課長」
…仕事にならない、
人知れずため息を吐く佳奈子のデスクに課長が来たのは昼休みまでもう間もなく、という時だった。
「午後の会議の用意を手伝ってくれないか」
「あ、はい!分かりました!」
羞恥心をかき消すかのように、いつもより張り切った声を出してしまった。