わたくしは
社会に出てすぐにお父様の企業繁栄のため、政略結婚をいたしました。
お相手の方は誠実で、頼りがいがあって、人を支えることに満足感を得ることができるお方。
わたくしは本当に良い方とご結婚できたのですね。
しかしその
なんででしょうか。何も不満などございませんし、むしろ感謝しなくてはいけません。
なのにわたくしは‥‥いったいどうしたのかしら。
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥
「桜子?」
「!」
わたくしは気がつけば、主人である
「あ、はい!」
「どうした?最近呆ける時間が増えたな。‥‥俺では満足できないか?」
「あ!あの、いえ‥‥決してそのようなことではなくてですね‥‥‥」
「‥‥‥」
あぁ、裕一郎様がお怒りになられた‥‥。
これでは夫婦仲が良いとは言えません。
そう心で泣いていると、生まれて初めて男性から叩かれたのです。
―ばしっ!
「主人である俺に不満か!申せ!何がいけないのだ!!」
「も、申し訳ございません!!」
「このことがお前の父上にバレてみろ!俺は絶対にお前を許さないからな!」
「‥‥‥っはい‥‥」
叩かれたほほは、じんわりとゆっくり痛みを残していた。
後を引く痛みにわたくしは今後、付き合っていくものだ。
そう直感したのです。
‥‥‥
‥‥‥
一度手をあげてしまってからの日々は、それはもう恐ろしいと思ってしまうほどなのです。
夜の営みも、街への買い物も、いつからか裕一郎様は一方的になってしまわれたのです。
そんなある日、街への買い物中にいたときです。
たまたま歩き遅れたわたくしを裕一郎様はお気に召さず、
ついに人のいる広間ですら手を挙げてしまうようになってしまったご様子。