「俺が気に入らないのか!だから遅いんだろ!」
「ゆ、裕一郎様、少し落ち着きください!」
こんな
それが人間なのでしょう。
ならわたくしは‥‥‥
「ちょっと待て」
裕一郎様が再度手を振り上げた際に、裕一郎様よりもグンと身長のある殿方が。
見かねて仲裁に来て下さったのです。
「あんま女に手をあげてれば、自分に何も残らなくなるよ。」
「何者だ!!」
「通りすがりの人さらいですよ」
そういうと殿方はわたくしをひょいとお姫様だっこをして、
「じゃぁ、あとで返すから頭冷やせよ!」
と裕一郎様に言い残してわたくしを連れ去ってくれたのです。
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥
あれからわたくしはこの殿方と一緒に、神社の傍らで一息ついていました。
「ほほ、大丈夫か?」
「大丈夫です。それより‥‥連れ去ってくださってありがとうございます」
「いや‥そうだな、気まぐれだからな」
「‥‥‥?」
「なに、礼ならもらうから安心しな」
「へ?」
そういうといきなりこの殿方に
一瞬、触れるだけど接吻。
にこりと笑っていらっしゃる。
わたくしは目を大きく閉じては開いて、を繰り返していた。