「母は、毎日精神が擦り切れるような生活を送っていて、心の病を抱えていました。そのせいか、幸せな夫婦生活というものが想像できなくて……」
「それは……辛かったな」
「全ての男性を一緒くたにするつもりはありませんが、男性に父の姿が重なるといいますか、怖く感じる事も多くて……」
「なるほど。それで結婚に良いイメージがわかないのか」
「そうですね。お付き合いした人がいつかあんなふうに横暴になったらと思うと萎縮してしまうんです」
「つまり、君の父親のような自己中心的で
「え、まぁ……そうかもしれませんね」
「ならば問題ない。俺は君の嫌がることはしない。自分のことは自分でやる。必要以上に家事の負担をかけるようなことはしない。なぜなら君を大切にしたいからだ」
「え、えぇー……」
「炊事、掃除、洗濯は人並みにできる。要領も悪くないはずだ。くだらないこだわりに固執するくらいなら和泉川の意見をちゃんと聞く。どうだ。俺は君の理想からは遠いか?」
仕事ができて、頼りになる。指導もわかりやすく、人当たりもいい――
それが、女子社員の憧れと癒しの灰島課長。
がっしりとした
はっきりした性格はカッコいいと思っていたけれど、こんなに推しが強く迫られるとついしどろもどろになってしまう。
うぅ、私、悪いことしてないのに……。
「自分で言うのも変な話だが、結婚相手の条件として悪くないと思うぞ。俺は」
「そ、そんな『お買い得』みたいな言い方……第一、灰島課長に私は釣り合わないと思いますよ? もっといいお相手がいるでしょうに……」
「いない。和泉川がいい」
その自信は一体どこから来るのだろうか。いっそ
「で、で、でも! 結婚って相性があるじゃないですか! 私が良くても灰島課長が私に幻滅するかも……」
「それもない。ないが、なるほど。相性を確かめたいという気持ちは伝わった。それに、そうだな。和泉川にとって俺と一緒になる圧倒的なメリットがあればいいわけだ」
「う、うーん……?」
なんか営業っぽいな? と思ったけれど、灰島課長は引き下がりそうもない。
「じゃあ今日から試そう」
「……え?」
灰島課長はニヤリと、イタズラを思いついた猫のように
「今夜、からな」
その悪い顔は仕事中に見たどの表情とも違う。
ワイルドな捕食者そのものの、色気のある笑みは不覚にも私をときめかせ――
その言葉の意味を理解していないくせに、私は挑戦的な申し出を受けてしまったのだった。
………
………
………
「か、ちょ……あぁんっ! も、吸うの、ぁあああっ!」
――ぢゅぼっ! ぢゅっぢゅぅうっ……ちゅっちゅっ
耳を塞ぎたくなるような隠微な音。
クリトリスと舌……互いの粘膜が擦り合い、柔らかくも焦げ付くような熱が私の
(課長が……あの灰島課長が、私のアソコを舐めてる……っ!)
敏感すぎて怖いから、あまり触らないようにしていたクリトリス。
普段からあまり