彼が力強く頷いたのを見てから、私は枕元の引き出しからコンドームを一枚取った。
「これ、コンドーム…保健の授業で見たことがあるかもしれないけど、これをつけないと大変なことになるから…ね」
こうして、先端を摘んで、と教えながら装着してあげる。
透明な先走りが糸を引くそこにすっぽり被せて、スルスルを全体を包む為に薄いゴムを下ろしていく。
「これは、セックスだけど、セックスじゃないよ。練習、そう、練習だから」
彼に言い聞かせたのか、はたまた自分に言ったのかわからない。
都合のいい事を言って、と笑われるかもしれないけど
ぐぐぐ、と陰茎が熱い膣壁の中を突き進んでいく。
ずっぽりと根本まで挿入したそれを出し入れさせる為に春斗くんが腰を動かし始めた。
動き方を知らないためお世辞にも上手とは言えない。
しかし
「っぁ…はぁっ…ん」
「静香お姉ちゃんっ…きもちいい?」
「うんっ、いい、よっ…ふぁ…あん」
もっとああした方がいい、こうした方がいい、と言おうと思えばいくらでも言えるけど、全くの初めてなら十分だと思って何も言わずにただシーツを握りしめた。
それでも次第にコツが掴めたのかリズミカルに動けるようになり、上体を起こしたり、逆にぴったりくっついたりと色々試す余裕が出てきたようだった。
ぬちゃぬちゃと水音を響かせて出入りするそこを興味津々に見つめられると思わずこっとが赤面してしまう。
「お姉ちゃっ…僕、もう。出そうっ…」
「うん、出して良いよっ」
春斗くんは大きく体を震わせると薄いゴムの中で果てた。
肩で息をしながら私の上に崩れてきた彼の柔らかい髪を撫でながらぎゅっと抱きしめながらとてつもない後悔が襲ってくるのを感じる。
いくら練習と言い張ってみても、絶対に許されない関係だ。
無かったことには出来ない。
一度きりとは言え、これは彼氏への裏切りでれっきとした浮気…
どうしよう、そう思いながら時計を見た。
彼が帰ってくるまであと20分…