学校帰りの時間になる。
あたしはそそくさと帰りの支度をしていると、窓からにぎやかになる校門が見えた。
「?」
そのまま玄関を出て、校門を過ぎようとすると声をかけられた。
「ねー。水谷ちゃん」
「!?」
なんであたしの前の苗字を!?
あれだけ隠していたのに、この男性は誰!!!!???
「俺だよ」
「知らないです」
「俺だって!」
「新手のオレオレ詐欺ですか」
「ちょっと来い!」
「へ!?」
あたしは腕をつかまれてそそくさと公園に来た。
ベンチに座らされて、男性は帽子とマスクを外した。
………
………
「まだわかんねーの?」
よくよく見る。
誰かは知っている。
一番逢いたくない人だ!!!
ダッシュで逃げようとするが、すぐさま抱き着かれてしまう。
「待て!」
「知らない人なので。第一お別れも何も出来ない人なんて知らないに値します」
「わかってんじゃねーか。……ごめんな」
誰か、なんてわかるよ。
だってずっと好きだったから。
………
………
「なに、なんの謝罪なの?」
「あの日のこと、だよ」
「あー知りません」
「行けなかったんだ。あの日母さんがいろいろあって、行けなかったんだ」
「…………」
「その話もしたいし、もし俺を覚えてて、話をしてくれるなら、今日の21時にこの公園に来てくれ。…………似てるだろ?さくら公園に」
もう
特定できてるから。
ね、雅樹。
あたしはそのままゆっくりと歩いて雅樹から離れて帰宅した。