マニアック

好色部屋

その夢というのはこうである。

………

………

美香は春香と約束通りに駅前に集合してそこから5分程歩いた所に大きなビルがある。

そのビルに入って行くと地下まで階段を降りて行き、そこに好色部屋と書かれた看板があって、その中に入ると受付で学生証を見せてからまるで銭湯のように2つに分かれた暖簾の、女と書かれた方を潜って入った。

するとそこは待合室になっていた。

間もなく2人は呼ばれて行くと10個のドアが1列に並んでいて、美香は6番、春香は7番に案内された。

そしてドアを開き中に入ると、ピンク色のライトで照らされた、白いベッドがあるだけの部屋であった。

しかしよく見るとベッドではなく四つん這いになった男の人が4人並んで、その上に無造作に白い布団が敷かれていた。

案内人は唖然とする私の目の前に立って、ジロジロと頭から足先まで舐め回すように見ていた。

それは男であった。

男の容貌は、まるで未成年に対して性的な興奮を覚える不審者、性犯罪者のようであった。

そして突然抱きつかれた。

………

………

その時美香は目を覚ましたのだった。

外はまだ暗かった。美香は嫌な予感がした。

矢張りやめようかと思った。

しかし心の底に漂う色欲に対する強い好奇心は、激しく脈を打っていた。

美香は中々眠れず、もうすぐで4時になるので寝る努力を諦めて布団の上で本を読んだ。

暫くして日が昇り、辺りが明るみはじめ、家の屋根の上を鳩が頓狂な声を出しながらバタバタ移動していた。

不意に美香は春香も自分と同じ夢を見たのではないか、と考えた。

そしてその考えを何度も繰り返して玩味していくにつれて、遂には一人合点してきっとそうだろうと確信した。

しかし春香から今日の予定をキャンセルしないかと言うようなメッセージは来なかった。

美香は駅前に来ると、いつもは遅刻して来る春香が今日は珍しく一番乗りであった。

いつものように平気で人の多い駅前でも嬉しそうにはしゃいでいた。とても元気そうであった。

2人は歩いて好色部屋のあるというビルまで行った。

美香はビルの地下にある事は知っていたが、細かい事は何も知らなかった。

そのビルまでは5分ほどで着いた。

中に入ると、真正面にエレベーターがあった。

しかし2人はそれを使わずに階段を降りて地下へ行った。

春香いわく、エレベーターからでは行けないらしい。

理由はわからない。

地下は狭苦しく陰気であった。

その奥に好色部屋と書かれた看板が掛けてあって、その下にドアがあった。

そのドアを春香は躊躇なく開けて中に入って行った。美香もそれに付いて行った。

2人は受付で学生証を出すと目隠しを付けるように言われた。

言われた通りに目隠しをすると、2人の案内人に導かれて待合室のような所まで連れて行かれた。

そこで美香と春香は待つように言われた。

間もなく2人は呼び出されて廊下を右に左に曲がって行くと、それぞれどこかの前に立たされた。

そして目の前からドアの開く音がして、その中に入った。

美香は春香が隣の部屋に入れられた事が何となく知れた。

間もなく美香はベッドに腰を掛けると、何か座り心地が悪いような気がした。

座ると何も言われずに勝手に服を脱がされた。しかし美香は案外落ち着いていた。

自分の身体に触れる手の大きさから推して今目の前にいる人間は男であるように思われた。

その男は慣れた手付きであっという間に全裸にしてしまうと、美香にかぶりつくようにキスをした。

そして乳房を抉るように強く揉みながら、頬や鼻先から鼻筋、耳、額を喘ぎながら舐め回した。

それに対しては非常な不愉快を感じた。それでも美香はされるがままにじっとしていた。

男は首筋を舐めはじめた。

そして美香を後ろに押し倒すと、男は美香の小さな乳房に吸い付いた。

美香は段々と気持ち良さを感じて来ていた、背中の感触以外は。

男は乳房から口を離すと、後ろに後退って美香の両脚を左右に広げてその間に顔を埋めると、果汁で微かに濡れた桃を慣れた舌先の動きで愛撫した。

美香は男の舌先が果肉に摩擦して発生する熱の、心を激しく揺れ動かす快感に思わず身体を大きくくねらせた。
グチャグチャと果肉から溢れる大量の甘い汁を吸いながら桃の可愛らしい味わいをよくよく咀嚼して玩味していた。

男は美香の耳元で「挿れるよ」とささやくと、肉の塊が柔らかい桃の皮の上から押し潰すようにして自分の体内に男の逸物が挿入されるのを感じた。

果汁で溢れていた為か入れられても特に痛みは無かった。

それには今まで感じたことの無いような快感があった。

男は最初はゆっくり、そして段々と早くして行った。

男の逸物は大変に立派なもので、美香は2回ほどオーガズムを経験した。

それは生まれてはじめての経験であった。

それは美香の桃が凄まじい凝縮運動をしてそこから大きな官能の波が身体全体に広がり、力が抜けて虚ろな心に燦然たる恍惚があらわれ、それは美香を優しく包み込んだ。

終わると美香は素早く服を着せられてまた案内人に誘導されて部屋を出て気づく目隠しを取られて、そこは受付であった。

美香はその店を出ると既に春香は終わっていたらしく美香のことを待っていた。

2人は駅前まで戻って、そこと隣接したイオンの中にある映画館に入った。それが終わって美香と春香は解散した。

美香は家に帰らず常盤公園に行った。

夕焼けが美しい。

千鳥ヶ池の縁の段差に腰掛けた。

鴨川の親子はもういなかった。

水面に辺りの豊かな緑の木々が暗澹あんたんと映っていた。

美香はぼんやりと先程の事を思い出していた。

私の処女を捨てたのは一体どんな男なのだろうか?

ベッドの下から聞こえた何者かの弱々しい声は一体何だったのだろうか?

暫くそこに佇んでいて、家に帰った。

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