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「‥‥‥それで?あなたはどなたですか?」
なかなか話そうとしないこの人に
「“急遽募集します!一人で不器用なあたしを―‥‥”」
「ぅわああああああ!!!!!」
知られた。
「あれ?これって雪村さんだよね?」
知られてしまった。
あたしの裏の顔。
「‥‥そうよ?悪いかな?」
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実はあたしは、マッチングアプリで誰かとつながりたくて募集をかけていた。
あたしだって人間だから、誰かと触れあいたいし、
誰かとキスしたいし、セックスだってしたい。
恥ずかしいけど勇気を出して募集をかけていたんだ。
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「どう?俺としませんか??」
「‥‥‥いいですけど、なんで‥‥‥」
「俺、雪村さんのこと知ってたんですよ。」
「だからなんで」
「セックスさせてくれたら教えますね」
気になったし、セックスしたかったし、あたしは縦にうなずくほかなかった。
会社に戻ったあたしの頭の中はセックスしかなくって困る。
しかも割と筋肉質で背も高くて、素敵な男性だった。
そんな男性とセックスできるかもだなんて‥‥興奮してしまう。
慌ててトイレに入って、あたしは少しだけオナニーをした。
指でクリトリスを撫でては膣内に指を軽く入れるだけ。
「っん、は‥‥‥」
社内だからいつバレるかわからない。
喘がないようにひっそりと。
唇をかみしめて思いっきり感じている。
あの人とセックス‥‥‥それを考えればいやらしいことしか、
頭の中に浮かんでこないあたしは本当に欲求不満なんだろうなと思った。
逝くまではしていなかったのに、逝った時みたいに気持ちが良かった。
それからあたしは自分のデスクに戻るのだった。
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終業時間になった。
あたしは冷やかされることも多かったので、もしかしたらあの人も‥‥‥なんて考える。
それでもしいなかったら別な人を探せばいい。
それくらいにしか思っていなかった。
会社を出ればそんな考えなんて吹き飛んだ。
だって彼は会社の前で待っていてくれているから。