本当に愚痴しか話さなかったが、なぜか少しずつ観客も増え、一時間の配信を終えるころには13人になっていた。
それからというもの、まさみは気が付くと配信のことを考えるようになっていた。
仕事が早く終わる日は配信し、その度に少しずつ観客が増えていく。
お気に入り機能もあるようで、日に日に自分をお気に入りしてくれる数が増えていくのが楽しくて仕方がなかった。
「こんばんはー、masamiです!」
『masamiちゃんこんばんは』
『今日もきたよー』
『たくさん配信してくれて嬉しい♪』
初めて配信をした日から一か月、少しずつ増えていた観客は、今日は38人になっていた。
まさみが何かを話すと、コメントが動く。
それを一つずつ読み上げていたのだが、あるコメントでまさみは眉をひそめた。
「masamiちゃんのおっぱい、見たい……えー、何このコメント……」
こんな内容のコメントは初めてで戸惑った。
しかし、他のコメントに流れてそれもすぐに画面から消えてしまう。
その配信ではそれ以上は何もなかったが、それからというもの、そのコメントが頭から離れなくなってしまった。
そんなこと考えたこともなかったのに、画面の前で服を脱ぐ自分の姿が何度も脳裏によぎる。
ネットで自分の身体がリアルタイムで人に見られる……そんな欲望があったなんて自分でも知らなかったのに、気付けばそのことばかり考えるようになっていた。
(顔を出さなければ……)
そう思えば、だめだと思っていても手が検索のキーワードを入力してしまう。
すぐにアダルト用の配信サイトが見つかり、まさみはそのまま登録してしまっていた。
そこまでくると、自分の欲望に突き動かされるようにしてまさみは金曜日の夜、アダルト配信の開始ボタンを押した。
画面はいつもの配信と同じようなつくりで、緊張はしないがドキドキと心臓は高鳴っている。
配信のタイトルには【初配信♪】と初めてなことがわかるように設定すると、開始してすぐに観客数は50を超えた。
今までやっていた配信だってそこまでの人数に見てもらったことはない。
顔は映らないようにして、いつもの配信のように適当に話をした。
コメントはまさみの雑談に対してのもので、その中にいくつもアダルトな内容を意識させるものがある。
それが確かにアダルト用の配信なのだとまさみに実感させて、そのコメントに背中を押されるようにして手が動いた。
ドキドキしながらも、まさみはゆっくりとブラウスのボタンを外していく。
一つ外すたびに観客は増え、コメントの流れも速くなる。
(こんなにたくさんの人が、私を見てる……)
そう思えば腹の奥が熱くなって、まさみはとうとうブラウスを脱ぎ捨てた。
黒いブラジャーとまさみの上半身がカメラに映される。
『それもとって』
『masamiちゃんの胸もっと見たい』
『はやく~!』
そんなコメントが流れていくのを見ながら、まさみはブラジャーのホックに手を伸ばした。
これを外したら本当に、自分の裸が見られてしまう――頭の片隅に冷静な声が聞こえるが、それがまさみを余計に興奮させた。
ホックを外し、ゆっくりとブラジャーを外す。
白い胸と、その中心でツンととがった乳首がカメラにうつった。
画面上のコメントはさらに勢いを増し、観客数もいつの間にか100を超えている。
自分の胸が今、100人以上の人に見られている――そう思うと身体がどんどん熱くなり、乳首が勝手に硬くとがっていく。
その様子がカメラに映し出され、それを指摘するコメントがいくつも流れ――まさみの息はいつの間にか浅くなり、興奮して熱くなった肌はしっとりと汗ばんでいた。
硬くなった乳首が疼き、下腹部がじんじんと熱くなって刺激を求め始める。
『触ってよ』
『一人でしてるところ見たい』
『はじめてって感じですごくいいね!masamiちゃんかわいい』
それはただの文字でしかないはずなのに、まるで複数の男から耳元でささやかれるような気持ちになった。
まさみはこわごわとした手つきで、自分の胸に手を伸ばす。