恋のはじまり

ぬくもりと優しさ

「はぁー…なんであたしこんなに好きなんだろう」

「ただの依存だと思うけど。まぁとりあえず言うことは一つです」

「はい、桃先生」

「…アンタも浮気しちゃえば」

「………え?」

「今日の夜合コンやるけどアンタもおいで」

「いやー合コンは…」

「アンタが動かないと何んも変わらないよ。いいから来なさい。わかった?」

「はい」

浮気か…

今まで考えたことはなかった。

だってされたらいやだから。

けど…あたしも十分頑張ったよ。

誰でもいい。

このあたしを褒めて…

………

………

………

誘われるがままに来てみた。

桃もいるって言ってたし…ってか会場はここ?

そう、カラオケボックス。

あたしは不安でしかたがなく、桃に電話した。

すると出ない。

辺りを見てもそれらしき人はいない。

と、電話が鳴る。

相手は桃だ。

<「ごめーんみんないけないわ。一人そっちに行くから、その人と浮気しちゃいなー」>

「ごめん桃、ぶっ倒したいんだけど」

<「まぁまぁ。言ったでしょ?浮気しなって。悪いけどアンタが思ってる以上にあたしはアンタが好きなの。
あんなろくでもない男なんかとは別れてほしいんだよね。だ・か・ら、頑張って~」>

「ちょ、桃!」

そのまま電話は切れてしまった。

慌てふためくあたしのもとには、桃が浮気しろといった男性がいる。

佐倉依子さくらよりこちゃん。こんばんは」

髪の毛は茶色くて、ネコっ毛の髪質。

人懐っこい顔をしている。

悪い人ではなさそう。

ってか…何気にイケメンなんですが。

あたし…騙されそう。

 

「こんばんは、えっと…」

楠木陽平くすのきようへいです。ほかの人はまだ来ないのかな?」

「なんか、桃が…」

「桃ちゃんが?」

「えーっと…」

危うく「あなたと浮気しなさいよー^^」と言いそうになった。

こらえて言葉を探していると、楠木さんから話し始めてくれた。

………

………
「もしよかったら、この近くにできたカフェ行かない?それともカラオケがいい?」

わかる。

二人きりだと察してカラオケを一応避けてくれているのだろう。

本当に優しくて良い人なんだとわかった。

「カフェ、行きます」

だからか、もっと話したいと思った。

「じゃぁ行こっか」

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