負けましたと言わんばかりの溜息混じりな返事だが、彼はそれでも心底嬉しそうな笑顔を見せる。
ここが会社であることをすっかり忘れたかのように彼は再び激しいキスをする。
唇が触れる度に、舌が絡まる度に彼女の硬い理性がポロリポロリと欠けていった。
「
名前を呼ばれた、ただそれだけの事にさえも胸が高鳴り背中が汗ばむ。
「…わ、私も…緒方君のキス、嫌じゃない」
「
苗字ではなく名前で呼んでほしいという彼のお願いを、彼女は先ほどまでの頑なさをすっかり忘れたようにすんなりと聞き入れた。
「…孝之」
「優子さん」
彼が耳にキスをしながら私のブラウスのボタンを外す。
まさかここでスるのだろうかと一瞬眉をしかめたが、ふと目に入った彼のズボンの股間の興奮具合を見て後戻りはできない、と腹をくくった。
スーツのスラックスの前部分がしっかりと浮き出ている。
彼は首筋に唇を這わせながらシャツを脱がせ、すぐにブラも外してしまった。
恥ずかしいという気持ちはあったがそれよりも「手馴れてるわね」と変な所に感心してしまう。
胸元を隠す彼女の手をそっと退かして、彼は食い入るようにそこを見つめる。
「…小さくてごめんなさいね」
「いえ、綺麗です」
形が良いだの自分の手にぴったり合う大きさだのと、私の残念な胸を様々に褒める彼にまたも “よくそんなにポジティブな言葉が出てくるなぁ” と妙に感心した。
彼が取引先や多くの社員に好かれる理由がよく分かる。
「ひゃ…んん…」
胸の先に指が触れる。
ぴくん、と体が小さく跳ねた。
思わず漏れたはしたない声に思わず顔を背けた。
彼がボソ、と発した「かわいい」という一言に顔が熱くなる。
硬くなった乳首をキュ、と摘まれる。
そのままクリクリとこねられると息が弾み下半身が疼いてしまった。
ハァハァと身体を熱くして足を擦り合わせる彼女を見て、孝之はスカートの中に手を入れる。
「は…あ、ぁっ…ん」